北斗星(4月21日付)

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 右手の人さし指を立てて、左右に軽く振る。「なに?(どうしたの)」を意味する手話だ。右手の側面で左手の甲をトンと1回たたくのは「ありがとう」

▼こうした基本表現をイラスト入りで分かりやすく紹介するカレンダーがある。一般社団法人手話秋田普及センター(秋田市)の「手話カレンダー」。3年目となる2018年版も1千部超を作り病院や学校などに無料配布した

▼センター代表理事の中島奈津子さん(43)は、生まれつき耳が聞こえない長女(9)との生活などを通じ聴覚障害者が日々感じる不安に気付くようになった。例えば、近くで楽しそうに話す人たちの会話が分からず「何か私のことを言われているのでは」と感じたり、外出先で「非常ベルが鳴った時、分かるだろうか」とびくびくしたり

▼共生社会が叫ばれて久しいが、現実は依然バリアー(障壁)だらけだ。懸命に生きる聴覚障害者への理解を深められるよう、一人でも多くの人に手話を広めたいのだという

▼手話のできる人はまだ少ないが、カレンダーがきっかけで「病院の受付で『お大事に』と手話で話し掛けてもらった」と聴覚障害者から知らせが届くようになった。中島さんは「少しずつでも普及に努めたい」と語る

▼「県手話言語条例」の施行から今月で1年。柱に据えているのも手話の普及だ。実現に向け大切なのは県民が聴覚障害者の気持ちに寄り添うことなのかもしれない。その思い一つ一つが真のバリアフリーの礎になる。

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