北斗星(4月24日付)

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 男鹿市出身の詩人船木倶子(ともこ)さん(66)=千葉県浦安市=が故郷をテーマにした詩集「男鹿半島」(倶子オフィス)を出版した。病に見舞われながらも、それを乗り越え仕上げた3作目。「完成した時は抱いて寝ましたよ」と素直に喜ぶ

▼真っ白い装丁でB5判。詩集にしてはサイズが大きめのせいか、ページをめくると余白が目立つ。その分、読み手に考える時間を与えてくれる気がする。ふんわりと包み込むような優しさが感じられる一冊だ

▼個々の作品からは男鹿の自然の雄大さが伝わってくる。「寒風山」では「おまえ独立峰(ひとりきり)だったこと/いまごろになって/気づくのだ」とつづり、「入道岬」では「風は水平線のむこうから/ロシアからまっすぐにくる」と書く

▼自宅に初めて電気が通ったのは中学生の頃という。電化製品がないことを不便には思わず、それを当たり前のことと受け止め、自然の中で多感な時期を過ごした。今作に収めたのは、高校時代から書きためた30編。それぞれの作品に故郷へのまなざしがにじむ

▼出版を機に久しぶりに帰郷した船木さんは、詩の言葉とは何かとの問いに「ため息。ふっと出てくる本音」と答えた。男鹿半島については「そこから元気をもらっている。大げさに言えば、故郷さえあれば生きられる」と熱く語った

▼20代や30代の頃はあまり意識しなかったが、年を重ねてようやく、男鹿半島が自分の原点と思えるようになったという。さらに充実した詩作が期待できそうだ。

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