北斗星(6月14日付)

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 大阪府で処方箋が必要な医薬品を販売目的で違法に保管したとして、中国籍の男らが逮捕された。医薬品医療機器法違反の疑い。販売先は中国人観光客とみられている

▼日本の薬は中国で「神薬」として人気があり、特に処方箋の必要な医薬品は高値で取引されるという。大阪府警は医薬品を横流しした業者がいるとみて捜査中だ

▼これとは逆に、日本では江戸時代、中国からの薬の原料が重宝された。麝香(じゃこう)や牛黄(ごおう)などで、越中・富山の薬売り商人が手に入れ、地盤を築いた。これに一役買ったのが昆布だった

▼財政が苦しかった薩摩藩が、出入りの富山の薬売りに昆布を調達させ、琉球王国経由で中国に輸出し、薬種も得た。「昆布と日本人」(奥井隆さん著)によると、中国では慢性的にヨウ素が不足し、甲状腺を患う人にミネラル豊富な昆布の需要があった

▼薩摩藩が中国交易で得た利益は倒幕運動の原資になったという見方もある。昆布の輸出で大きな役割を担ったのが、北日本と関西をつないだ北前船。北海道などで海産物を買い付け、寄港地で販売した。北海道―越中―薩摩―中国の昆布ルートがあったわけだ

▼文化庁の日本遺産「北前船寄港地・船主集落」は今年の追加認定で本県を含めて15道府県38市町に広がった。日本遺産は、地域の文化財を活用した観光振興を目指している。とはいえ認定自治体単独の資源ではアピール力が弱いのが悩み。連携して歴史の物語をどう紡ぎ出すか知恵の絞りどころだ。

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