東北の着物:シナ布(山形県) 木の自然な色と香り

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山形県のシナ布の帯。着物は山形県の紙糸紬(かみいとつむぎ)

 遠い縄文時代に、人間がまとっていた布の一つがシナ布だといわれています。原料は山間部に自生するシナノキなどの樹皮。かつては野良着として、またアイヌの織物「アットゥシ」として人々に利用されていました。

 樹皮の採取はちょうど今ごろ、梅雨時期に行います。シナノキを伐採して内皮と呼ばれる薄い靱皮(じんぴ)を剥ぐ。それを灰汁(あく)で煮て、洗い流してから糠(ぬか)に数日漬け込みます。すると発酵作用などによって白く柔らかな皮になります。それを洗って乾燥させると、長期間保存可能な糸の原料となるのです。これを細かく裂いて、「シナ績(う)み」という技法で糸を紡ぐ。織物にするまで1年近くかかります。

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