社説:大曲の花火資料館 ファンが増える企画を

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 大仙市が市中心部に整備してきた花火伝統文化継承資料館「はなび・アム」が完成し、備品や資料が次々と運び込まれている。8月5日のオープンに向けた準備は着々と進み、「大曲の花火」を核にしたまちづくりの拠点としての期待が高まる。

 資料館は、花火に関する資料を保存・展示し、花火文化の伝統と魅力を観光客や市民に伝える施設。丸子川沿いに立地する鉄骨4階建てで、延べ床面積約1660平方メートル。3、4階に花火の資料室のほか、花火の映像や花火玉作りの疑似体験を通し花火の魅力に触れるコーナーを設け、1、2階には生涯学習活動の研修室を備える。

 資料館の整備は市、大曲商工会議所、市商工会が進める第1期花火産業構想(2014~18年度)の一環。昨年4月に完成した花火製造工場、同月に開催された国際花火シンポジウムと並ぶ3本柱の一つに位置付けられる。

 100年以上の歴史があり、全国から観光客を集める「大曲の花火」のブランド力を生かして、花火文化の継承と地域経済の振興を図る。5年間で20億円超が投じられる第1期構想最後の大規模プロジェクトで、約8億2千万円を充当。国と県の交付金のほか、市債で調達する3億9千万円、市の一般財源5300万円などが財源だ。多額の市費が使われることから、市民からは「建物を建てて終わりではいけない」との声も聞こえてくる。

 大仙市は過去の大会資料や会場のパネル展示、打ち上げの映像に加え、定期的な企画展示を行うことを検討している。一度だけではなく、国内外の観光客が何度も訪れたくなるような企画を打ち出し、8月の大曲の花火はもちろん、市の歴史や文化にも興味を持ってもらえるような内容にしてほしい。

 公募で採用された愛称「はなび・アム」の「アム」には「歴史や文化を編む」との意味が込められている。花火文化継承の役割を果たすとともに、その魅力を全国に積極的に発信してもらいたい。

 大仙市などは第1期構想策定に当たり、5年間で達成すべきアクションプランを作成。▽観光客の年間入り込み数▽経済波及効果▽花火資料収集点数―など5項目について目標を示していた。このうち観光客の入り込み数は目標の272万人を超す276万人に達したとしているが、問題は活性化にどうつなげていくかだ。資料館のオープンを機に周辺観光スポットや商店街との連携を強化し、観光客の周遊性を高めることが必要だ。

 今後は第1期構想の成果を検証し、19年度に始まる第2期構想の策定に入る。基本方針にはインバウンド(訪日外国人客)の増加や資料館の企画展示の充実を掲げることが想定される。花火ファン、大仙市ファンを増やすためのアイデアを存分に打ち出したい。