社説:県産の特定名称酒 新好適米で多様な味を

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 県内蔵元が製造する吟醸酒や純米酒などの「特定名称酒」の出荷量が順調に伸びている。日本酒造組合中央会のまとめによると、2017年度は前年度比3・1%増の8374キロリットルに上り、7年連続で増加した。都道府県別では、いずれも2年連続で東北1位、全国4位となっている。

 特定名称酒は一般酒に比べてコメを削る割合を多くすることなどでうま味が引き出され、味や香りの良さを生んでいる。首都圏などの若い世代を中心に、各蔵元のこだわりのある日本酒を好む傾向が見られ、全国的に人気が高まっている。

 こうした消費者ニーズの高まりを好機と捉え、戦略的に販売展開することが今後とも重要である。酒造業界と行政が一体となって、県産特定名称酒の一層の販路拡大につなげてもらいたい。

 特定名称酒が伸びる一方、一般酒は低迷し、この二つを合わせた本県の清酒全体の出荷量は減少している。17年度は前年度比4・8%減の1万9897キロリットルだった。県酒造組合などによると、特定名称酒は一般酒よりも高価格で販売することができることから、経営上のメリットも大きい。このため県内の蔵元で特定名称酒の製造を拡大させる動きが目立っている。今後もこの傾向は強まるだろう。

 各蔵元は現在、県産の酒造好適米「秋田酒こまち」や県オリジナルの「AKITA雪国酵母」など、さまざまな酒造好適米や酵母を組み合わせたり、仕込みに木のたるを使うといった工夫を施したりして、独自の味わいと香りを生むよう努めている。さらに個性ある商品づくりを進めるには、今後品種登録される見込みとなっている本県の新たな酒造好適米が大きな戦力になる。

 県は全国的に人気の高い兵庫の「山田錦」並みの味わいをもたらす酒造好適米を開発しようと「秋田酒120号」「秋田酒121号」の育成に取り組んできた。いずれも先月までに品種登録を申請している。120号は秋田酒こまちと新潟の酒米の掛け合わせで、うま味と淡麗さを出せるのが特徴。121号は山田錦の由来で、うま味と香りの広がりが持ち味だ。県醸造試験場は「狙い通り、山田錦並みの味わいを出すことができている」と話す。

 県酒造組合によると、どちらの好適米も今後の蔵元での試験醸造を経て、20年度には本格的な利用が始まる見込みとなっている。各蔵元で可能な限り活用することで商品のラインアップに一層の多様性を持たせ、県産の特定名称酒全体の魅力アップに結び付けたい。

 人口減が急速に進む中、首都圏や関西方面はもちろん、海外への販路拡大が不可欠だ。消費地で試飲会を開催するなど積極的に売り込みを図り、本県の特定名称酒の質の高さを広めていくことが求められる。