社説:縄文、世界遺産候補 価値伝える努力不可欠

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 本県など4道県が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産登録を目指している「北海道・北東北の縄文遺跡群」が、19日の文化審議会で世界遺産の新たな国内候補に選ばれた。2013年から5年連続で落選していたが、6度目の挑戦でようやく念願がかなった。

 縄文遺跡群は三内丸山遺跡(青森市)や本県の大湯環状列石(鹿角市)、伊勢堂岱遺跡(北秋田市)など北東北3県と北海道の計17遺跡で構成される。先史時代、約1万年にわたって狩猟や採集を基盤に自然と共生した縄文人の暮らしぶりや精神性を示すものであり、極めて貴重だ。国内候補に選ばれたことを、まずは素直に喜びたい。

 4道県は20年の登録を目指しており、ユネスコの審査を経て晴れて登録されれば、本県関係では1993年に世界自然遺産に登録された白神山地以来、2例目の世界遺産となる。観光客の増加が見込まれるだけに、関係者の期待は大きいだろう。

 縄文遺跡群については、縄文の文化圏が日本国内に広く分布する中、なぜ北海道・北東北に限定するのかが問われた。昨年の審議会でも、海外の人たちに価値を理解してもらうための分かりやすい説明が必要と指摘された。

 4道県はこれを受け、集落跡に大規模なものが多く、しかも多様であることなど、他の文化圏との違いが際立つよう表現を修正してきた。そうしたことが評価につながったとみられる。

 ただし、これですんなり手続きが進むわけではない。ユネスコは、世界遺産が既に千件を超えていることから保全管理に目が行き届くように新規登録を抑える必要があるとして、年1回の審査件数の上限を45件から35件に減らすことを決定。従来は同じ国から複数可能だった推薦について、文化遺産、自然遺産、複合遺産を合わせて1件に制限されることになった。

 このため縄文遺跡群は、同じ20年の登録を目指す自然遺産候補の「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」(鹿児島、沖縄)と競合する見通しだ。政府は来年2月1日までに、候補を一つに絞ってユネスコに推薦書を提出する。

 さらに仮に推薦が決まったとしても、世界遺産登録に大きな影響力を持つユネスコ諮問機関による審査をクリアしなければならない。17遺跡にそれぞれどんな価値があるのか、地元の理解や熱意はどうなのかなどがあらためて厳しく問われる。本県はもちろん、4道県全体で遺跡群の価値をいま一度捉え直し、魅力をしっかり伝えられるよう準備を進める必要がある。

 世界遺産に登録されることは、自分たちが暮らす地域に誇りを持つきっかけになる。人口減少が進む中、観光面での期待が高まる一方、いかに保全するかが重要となる。将来に向け、遺跡を守る担い手づくりも併せて進めていきたい。