イザベラ・バード秋田の旅(7)土崎湊編
1878(明治11)年7月25日、土崎湊(現秋田市土崎港)に向かう羽州街道は大勢の人でごった返していた。その中にいたイザベラ・バードは、前方にある「謎の物体」に気付く。「塔のように突き出たもの」「巨大な5本の指」「枝の突き出た数本の樹木」―。近づくたびに印象が変わるその物体の正体は、200人の男たちが引っ張る高さ約15メートルの曳山(ひきやま)だった。
◇――◇
バードが遭遇したのは土崎神明社祭の曳山行事。巨大な指に見えたのは、曳山の台の上に作った夫婦(めおと)岩だ。木材の骨組みを黒い布で覆い、先端は男岩と女岩に分かれている。岩の間には滝に見立てた白い布を垂らし、岩のあちこちに松の枝を飾っている。曳山行事に詳しい同市の民俗文化研究者・菊地利雄さんは「曳山は神が降臨する場所。それにふさわしく、険しい深山を表している」と話す。
現在の曳山の高さは約5メートルだが、電線が架設される1901(明治34)年ごろまでは10メートル超、20メートル超の曳山が作られた。記録にある最大の曳山は高さ約26メートル。「町内が競い合い、どんどん高くなっていった」(菊地さん)という。
旅のメモ
土崎神明社祭の曳山行事が行われるのは7月20、21日の両日だが、遐邇(かじ)新聞(現秋田魁新報)によると明治11年は24日と25日に行われた。連日の長雨で順延されたらしい。バードも久保田(現秋田市)で25日まで足止めされていた。この年の夏は県内各地で大雨被害が多発、バードの旅にも影響した。
【イザベラ・ルーシー・バード(1831~1904年)】
英国の女性旅行家。1878(明治11)年に初来日し、7カ月にわたって関東、東北、北海道、関西を旅行。80年に旅行記「日本奥地紀行」を出版した。本県には78年7月18日に雄勝峠から入り、羽州街道を北上。横手、秋田、桧山、大館を経て同31日に矢立峠に達した。
連載企画:イザベラ・バード 秋田の旅
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