社説:ボクシング連盟 組織の立て直し急務だ

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 日本ボクシング連盟の山根明会長が辞任を表明した。助成金の不正流用が問題化したほか、審判員の不正判定などさまざまな疑惑が浮上し、批判が高まっていた。過去の暴力団関係者との「黒い交際」まで明るみに出た。辞任は当然であり、むしろ遅過ぎたと言うべきだろう。

 アマチュアボクシング界に対するイメージの低下は計り知れない。とりわけ公平であるべき判定に疑問符が付いたことの影響は大きい。気の毒なのは懸命に練習に励む全国の選手たちだ。会長辞任で済む問題ではない。連盟は早期に体制を刷新して信頼回復に努め、開催まで2年を切った東京五輪に向けて組織を立て直さなければならない。

 山根氏は「申し訳ない」と頭を下げたが、一連の疑惑に対して何の見解も示さなかった。家族に相談したところ辞任を促されたなどと自身の思いを一方的に述べる一方、報道陣からの質問には答えず、何を理由に辞任するのかは明らかにしなかった。説明責任を果たしたとは到底言えず、このような人が組織のトップだったのかとあきれるほかない。

 一連の問題は、都道府県連盟の幹部や元選手ら333人の有志でつくる「日本ボクシングを再興する会」が先月、12項目に及ぶ告発状をスポーツ庁や日本オリンピック委員会(JOC)に提出して発覚した。

 内容は日本スポーツ振興センター(JSC)から交付された助成金の不正流用や、かつて奈良県連盟会長を務めた山根氏が奈良の選手に有利な判定が下されるよう圧力をかけたとされる不正判定疑惑など。山根氏は助成金の不正流用は認めたが、不正判定疑惑については全面否定していた。

 これに対し再興する会は、山根氏とみられる男性が「接戦した場合、やっぱり奈良やな。反対につけた場合は『おまえ、なめてるんか』ってなってくるわけ」などと発言している音声データを証拠として提示。ほかにも海外合宿時の経費精算を巡る疑惑などを示した。

 日本連盟は第三者委員会を設置して疑惑の解明に努めるとしているが、客観的な調査になるのだろうか。告発を受けたスポーツ庁やJOCが主導して徹底調査するべきではないか。

 山根氏は2011年に日本連盟の会長に就任。その後、定款にない「終身会長」のポストを新たにつくって就任したという。権力が強まり、権威を振りかざすような行動や言動が目立つようになった可能性がある。山根氏への権力の集中を許した組織の在り方も問題だろう。

 アマチュアからプロに転向し、現在世界ボクシング協会(WBA)ミドル級王者の村田諒太選手が今回の問題を憂い、選手第一の組織づくりを訴えたことは重い。連盟はそうした選手側からの切実な声に真摯(しんし)に応えなければならない。