碑は語る(4)蠍座事件・大仙市 特高の弾圧、俳人襲う

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加才の句が刻まれた碑と佐藤さん=大仙市

 敗戦から4カ月余り後、知人への手紙に「狂犬に噛(か)まれたやうだ」と書き残してこの世を去った俳人がいる。

 加才信夫(本名大河隆一)、享年33歳。戦時下の特別高等警察(特高)による思想弾圧の一つ、「蠍(さそり)座事件」の犠牲者である。

 加才は1912年、横堀村(現大仙市)の小地主に生まれた。結核を患い大曲農業学校を中退。自宅で療養を続ける傍ら小説や詩、絵画に打ち込む、文学や芸術にたけた多才な青年だった。

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【文献】

・「蠍座の軌跡」(大河喜栄編、1989年)=蠍座の同人だった編者が、加才や事件に関する文章をまとめた。加才と共に逮捕された高橋紫衣風(しいふう)の手記も所収。
・「秋田県の庶民弾圧の実相と抵抗・増補改訂版」(田牧久穂、1998年)=蠍座事件など県内での戦時中の思想弾圧について「特高月報」を基に解説。
・「密告―昭和俳句弾圧事件」(小堺昭三、1979年)=新興俳句に対する弾圧の全体像を、関係者への取材などから描く。

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