社説:金足農準優勝 素晴らしい戦いに感動

お気に入りに登録

 第100回全国高校野球選手権記念大会の決勝で、本県代表の金足農は大阪桐蔭(北大阪)に敗れた。県勢として第1回大会で準優勝した秋田中(現秋田)以来、103年ぶりに決勝に進出。東北勢としても初の優勝に期待がかかったが、悲願はかなわなかった。しかし試合を重ねるごとに勢いを増し、強豪校を次々に打ち破る姿は多くの県民に力と感動を与えた。金足農の準優勝を喜びたい。

 人口減少、少子高齢化など本県を取り巻く環境は厳しさを増している。その中にあって、金足農の躍進は大きな明るいニュースであった。県内は金足農の話題にあふれ、野球に関心の薄かった県民をも巻き込んで大いに盛り上がった。高校野球、そしてスポーツの持つ力をあらためて実感した。

 選手全員が地元出身の公立の農業高校。決勝でこそマウンドを途中で降りたものの、それまで県大会から吉田輝星(こうせい)投手が1人で投げ抜き、先発メンバー9人で戦ってきた。バントで確実に得点圏に走者を送り、本塁を狙う。チーム一丸となって最後まで諦めずに粘り強く戦うスタイルが持ち味である。残念ながら大差となってしまったが、決勝でも伝統の「金農野球」は存分に発揮された。

 一方、他県を見渡せば私立の強豪校に優秀な選手が集まり、複数の投手による継投、攻撃重視のプレースタイルが主流となっている。それとは一線を画す「雑草軍団」が全国のファンの心を捉えたのはその諦めない姿、ひたむきさにあろう。

 県民、全国のファンに背中を押されたかのように、金足農の快進撃は続いた。甲子園常連の強豪校を相手に、逆転本塁打、逆転サヨナラ2ランスクイズなど、劇的な勝利も生まれた。日に日に甲子園の観客の声援や手拍子も大きくなっていった。全国の公立校、農業をはじめとする実業校の励みにもなったはずである。

 本県代表は長く夏の甲子園で勝てない時期があった。1998年から2010年まで13年連続で初戦で敗退した。このため、県教育委員会は11年から、県高校野球連盟、県野球協会などの団体と連携して「県高校野球強化事業」(16年からは「秋田型高校野球育成・強化プロジェクト」と改称)を推進している。

 全国優勝の経験がある元監督らをアドバイザーに委嘱、各校の監督を対象とした講習会の開催や学校訪問による指導など技術力の向上を図っている。高校入学以前に硬式球に慣れてもらおうと、中学3年生を対象とした硬式球を使った教室も開催している。県を挙げての取り組みが金足農の躍進につながった面はあるだろう。

 決勝で惜しくも敗れたとはいえ、準優勝は本県高校野球の歴史に残る快挙である。この夏、金足農から県民は本当に大きな元気をもらった。「ありがとう、金農」

秋田魁新報電子版電子号外