北斗星(9月9日付)

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 警察に届けられる拾得物は多種多様。縄文時代の土器もその一つだ。現金と同じく遺失物法に基づき処理される。ただ所有したのは縄文人。「私のです」と名乗り出るケースはない

▼その所有権は、2000年に都道府県に移るまで国に帰属された。明治の内務省令には石器時代の遺物は東京帝国大学、古墳出土品は宮内省に原則帰属するとある

▼能代市の麻生遺跡で明治期に出土した縄文晩期の土面(国重要文化財)も個人が見つけ東京帝大に献納された。その際は、価値に見合う現金が所持者に支払われる。「県内でも明治期から昭和初期にかけ宝探し的に発掘ブームが起こった」と高橋学県埋蔵文化財センター所長は説明する

▼多くの文化財が県外にあるのはこのためだが、県外に流出した遺物が戻ってきたケースもある。鹿角市の大湯環状列石で昭和20年代に行われた調査で見つかった土器類。調査に関わった慶応大が所蔵していたが、市が移管を要請、3年前に実現した

▼大湯ストーンサークル館の学芸員赤坂朋美さんは「遺跡を研究する上で非常に貴重な資料」と話す。大量の土器のうち18点はほぼ復元された状態で、大半はかけら状。現在、整理作業に当たっている

▼大湯環状列石を含む「北海道・北東北の縄文遺跡群」は7月、世界文化遺産の国内推薦候補に選ばれた。選定後は「遺跡群を巡る旅をする人が目に付くようになった」と赤坂さん。関係資料の移管が増えてくれれば遺跡群の魅力は一層増す。