社説:子どもネット依存 地域ぐるみの支援重要

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 インターネット依存に陥る子どもが急速に増えている。厚生労働省研究班による2017年度調査では、病的なネット依存が疑われる中高生が全国で推計93万人に上った。5年前に比べてほぼ倍増、7人に1人の割合だ。さまざまな悪影響が懸念されており、国を挙げた具体的対策が急務だ。

 ネット依存の背景には、スマートフォンを使ったゲームや会員制交流サイト(SNS)の普及などがある。調査では「ネットの使用をやめようとすると落ち着かない」など8項目の質問に五つ以上当てはまる人を依存が強い「病的な使用」と判断した。

 ネット依存は、成績低下や居眠り、遅刻など日常生活に支障を来す。さらに暴力や引きこもり、うつ病などの合併症、脳の障害を引き起こす恐れもある。

 本県では13年度から、子どもの健全なネット利用やトラブルの未然防止を目指す「インターネットセーフティ推進事業」に取り組んでいる。ネット利用の問題を学校任せにせず、地域全体で子どもを支えようというものだ。

 具体的には、ネットパトロールを行って動向を把握し、いじめや中傷などにつながる不適切な利用があれば個別に指導する体制を整えている。ネット依存やトラブルを抱える小中学生には生活改善を目指す長期宿泊体験プログラムを実施。民間と連携してネットに詳しい人材養成も各地で行っている。

 宿泊体験プログラムは県教育委員会が16年度から毎年、夏と冬に実施している文部科学省の委託事業で、全国的にも注目される試みだ。今年8月に6泊7日で行ったキャンプには5人が参加。医師や養護教諭、大学生らのサポートを受け、登山や釣りをして自然と触れ合い、自炊もした。キャンプ中はスマホやネット環境から離れる。依存症治療に有効とされる認知行動療法やカウンセリングを取り入れているのが特徴だ。

 県教委によると、参加者には大きな変化が見られている。子どもたちが自身の生活リズムを取り戻す機会となるだけでなく、仲間同士でコミュニケーションを取るようにもなった。キャンプの初日と最終日に行われる家族会では、日頃の悩みや不安について情報を共有でき、親にとっても有意義だ。課題を検証しながら継続し、全国の先進モデルに育ててほしい。

 ネット依存は、一時的に使用を制限しても効果は限定的である。社会そのものがネットと深く結び付いているからだ。危険と隣り合わせの子どもたちを守るためにも、県のセーフティ推進事業をさらに充実させることが求められる。

 同時に、保護者ら大人の責任も問われる。子どもたちに自らの置かれた現実を見つめさせ、ネット以外の世界にも視野を広げられるよう導き、支えていくことが不可欠だ。

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