社説:9月県議会開会 イージスの議論深めよ

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 9月県議会が開会した。秋田市の陸上自衛隊新屋演習場が候補地とされる迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」(地上イージス)の配備の是非に加え、急速に進む人口減少への対策などが議論の焦点となる。いずれも本県が直面している喫緊の課題であり、県民の目線に立った真摯(しんし)な議論を重ね、進むべき方向性を探らなくてはならない。

 地上イージスを巡っては、防衛省が新屋演習場を「最適候補地」として6月に配備方針を表明。以来、県や秋田市、地元住民らへの説明で「条件を満たす自衛隊施設はほかにない」などとし、新屋配備の姿勢を崩していない。今月5日には地質、測量調査の一般競争入札の受け付けを始めた。

 演習場は住宅地に隣接している。一帯が他国の攻撃にさらされる恐れがあるほか、レーダーが発する電波の影響も懸念される。地元住民でつくる新屋勝平地区振興会は先月、計画撤回を求める要望書を県や市に提出し、配備反対を鮮明にした。当然のことである。

 県はどう対応するのか。佐竹敬久知事は新屋演習場について、住宅地に近いことから「不適」としている。一方、周辺住宅地に影響が及ばないよう十分な保安距離を確保することについても言及。住宅地からより遠い位置にある演習場周辺の県有地を防衛省が取得し、配備地と住宅地の間に緩衝地帯を設けるのであれば、売却を検討する余地があるとの考えを示した。

 ただ、どのぐらい離れていれば安全なのかは不明だ。防衛省は必要な保安距離について「今後の調査を踏まえて設定する」と答えるにとどめている。

 なぜ県有地売却の可能性を示す必要があったのか。「配備地がもう少し離れた場所だったら容認する」とも受け取られかねない。地元住民が配備撤回を求めていることを重く受け止め、県が今後どう対応すべきなのかを議会でしっかり議論すべきである。

 人口減対策では、一般会計補正予算案に盛り込まれた少子化調査分析事業(772万円)が論戦のポイントだ。女性1人が生涯に産む子どもの推定人数を示す合計特殊出生率と、世帯収入、持ち家比率、3世代同居率などを市町村ごとに比較し、相関関係を調査。より詳細な分析で、対策のヒントを見いだしたいとしている。

 県はこれまで保育料助成などを対策の柱としてきたが、少子化に歯止めがかかっていない。今回の調査も効果的な対策に結び付けられるかは未知数。従来の対策がどの程度効果を上げているかの検証も必要だ。

 県が先月公表した2018年度県民意識調査では、人口減対策などの取り組みが不十分とする回答が50%を超えた。県民の厳しい声を踏まえ、実効性ある施策の実現へ議論を尽くすことが求められる。

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