北斗星(9月15日付)

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 泌尿器科医の市川晋一さん(67)は仙北市西明寺診療所長として週5日診察するほか、定期的な訪問診療や容体急変などに対応する往診にも精力的に飛び回る。西木地区で唯一の医師。地域住民の安全安心に欠かせない存在なのだ

▼出身は兵庫県。秋田大医学部医学科には3浪の末に合格した。「自分を受け入れてくれた秋田に恩義がある」と考え、秋田に残って地域医療に携わる道を選んだ

▼市川さんが受験したのは1970年前後。当時の秋田大医学部は医学部志望の浪人生の間で、受験の際に多浪生を差別しない大学として知られた存在だったという。浪人生は不利な扱いを受けているとの疑念が当時からくすぶっていたのだろう

▼東京医科大の不正入試問題では、女子に加え3浪以上の受験生に対しても得点を低く抑えるよう操作していたことが明らかになっている。医師国家試験の合格率が高い現役生を多く入学させることで大学のブランド力を高める狙いがあったとされる

▼問題の発覚後に文部科学省が全国81大学の医学部医学科を対象に行った緊急調査でも、合格率は年齢が上がるほど低い傾向にあった。東京医科大以外の大学は不正な得点調整について否定している。同省は不正の有無を含め、追加調査を経て来月に最終結果を公表する予定だ

▼「秋田に一生をささげる。75歳まで現役で働くことが人生最後の目標」と市川さん。多浪だからという理由で門前払いされていたら、あり得なかった人生である。