社説:JAおばこ問題 真相解明の努力怠るな

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 コメの直接販売事業で巨額の累積赤字と未収金を抱えるJA秋田おばこ(本所大仙市)は、同市の外部倉庫から見つかった内部書類に関する第三者委員会の調査報告書を県に提出した。報告書は、5月に公表された巨額赤字の調査結果に「内部書類が影響を与えるものではなかった」と結論付けた。

 一方で、文書管理については問題点を列挙。▽おばこは保存文書について定められた毎年の検査を行っていなかった▽外部倉庫にどのような文書を保管しているかも把握していなかった▽不要と判断した書類は規定に反し、総務課長ではなく担当の米穀販売課の判断で廃棄していた―などと指摘した。

 どのような書類を保存していたかも分からないというのは、にわかに信じ難い。しかも正規の手続きも踏まず「書類整理のため」として文書を勝手に廃棄していたというから、あきれるしかない。「本来保管すべき文書もあったのではないか」との疑念を抱かれるのは当然である。自らのずさんな管理が多くの農家の不信感を招いたことを真摯(しんし)に反省するべきだ。

 おばこを巡っては昨年11月から12月にかけて未収金、コメの累積赤字が相次ぎ表面化。これを受け、第三者委が今年2~4月に調査を実施し、5月に報告書を公表した。今回の内部文書調査は、数々の不明点を残す当初の調査結果に影響を与える事実が出てくるかどうかが焦点だった。

 外部倉庫に書類があったことについては職員が2016年6月と17年5月、書類を保管していたライスターミナルなどが手狭になって移動させたためであるとし、書類の隠蔽(いんぺい)の可能性に関しては赤字問題が発覚する前の移動であるとして「動機がない」と否定した。

 おばこは今回の報告書の提出を機に経営再建に専念したい意向を示している。しかし、全容解明ができないままで農家は納得してくれるのだろうか。63億6600万円に上る巨額赤字問題では赤字を黒字と偽る不適切な会計処理が続けられていたほか、12億円超の未収金がある宮城県の卸会社とはコメ代金の未払いが膨らむ状況にもかかわらず取引を続けていた。

 なぜ巨額の赤字を隠し続けたのか。宮城の卸会社との取引に必要な決裁文書を作成しなかった理由は。不明な部分が依然多い中、おばこ自身の真相究明への取り組みも見えてこないのが現状だ。経営再建に不可欠である12億円超の未収金の回収も進展が見られない。卸会社と交渉を続けているのなら、その過程も含めて現状を丁寧に説明するべきだろう。

 多くの農家がいまだおばこへの疑念を払拭(ふっしょく)できずにいる。経営再建に不可欠なのは信頼回復であることは間違いない。事実をうやむやにすることなく、真相解明に全力を上げることが責務である。