地域を味わう[秋田・発酵ツーリズム]多彩な食文化、資源に

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齋彌酒造店が製造販売している日本酒や酒かす、奈良漬といった発酵食品
齋彌酒造店が製造販売している日本酒や酒かす、奈良漬といった発酵食品

 全国有数のコメ産地である秋田県では、冬場の寒冷な気候を生かし、古くからこうじ菌などを利用した発酵食文化が育まれてきた。日本酒やみそ、しょうゆ、漬物に加え、魚醤(ぎょしょう)の「しょっつる」など多彩な発酵食品が県内各地で製造されている。そうした食文化を観光資源として活用し、誘客に結び付けようという「あきた発酵ツーリズム」の取り組みが、県を主体に産学官で進められている。

 発酵ツーリズムでは、観光客に酒造りやみそ造りを見学・体験してもらい、発酵食文化を学ぶ機会を提供。周辺の観光や農業体験も組み合わせ、本県独自の観光メニューをつくる。県によると、県単位による発酵食文化に着目した誘客の取り組みは全国初という。

 県がツーリズムのモデルと位置付けているのが、1902年に創業し、「雪の茅舎(ぼうしゃ)」の銘柄で知られる由利本荘市の齋彌(さいや)酒造店(齋藤浩太郎社長)の取り組み。

 本社敷地内にある自社所有の昭和初期の古民家「田屋(たや)」を改築し、ショップやカフェを併設した施設を来春オープンさせる。自社製の甘酒や奈良漬に加え、市内外の発酵食品を販売するほか、カフェでは酒かすのスイーツなども提供して発酵ツーリズムの発信拠点としたい考え。さらに田屋の裏手に立つ土蔵は、日本酒のオリジナルラベル作りや料理教室などができる体験工房に改築する。

 齋藤社長(51)は「酒蔵には毎日のように観光客が見学に訪れている。日本酒以外のさまざまな発酵食文化を知ってもらうことで、地域の魅力も伝えたい」と話す。

 本県の2016年の食品・飲料の製造出荷額に占める発酵食品(納豆、しょっつる除く)の割合は20%。東北の他の5県(3~8%)や全国平均(4%)と比べても格段に高い。

 今年2月には大手旅行会社や航空、鉄道、銀行などの民間企業と、県を含む自治体、地元の大学が構成メンバーとなり「あきた発酵ツーリズム推進協議会」が発足。情報発信の在り方、発酵食文化を伝えるガイドの養成などについて話し合いを進めている。齋彌酒造店を含む周遊モデルコースも開発中だ。

 協議会が決めた発酵ツーリズムのキャッチコピーは「本日あきた発酵中。」。酵母をイメージしたロゴデザインも制作し、県内外で実施するPRイベントで積極的に活用する。

 本県を訪れる外国人観光客にも発酵食文化の魅力を発信し、地域全体の活性化につなげたい考えだ。

 (秋田魁新報社)

【県内の発酵食】

日本酒やみそ、しょうゆ、いぶりがっこなどの漬物、魚醤の「しょっつる」、ハタハタずし、納豆汁などがある。県秋田うまいもの販売課によると、県内には4月1日時点で、酒蔵37カ所、みそ・しょうゆ醸造元39カ所のほか、納豆や漬物などの製造所も含めると延べ計138カ所の関連施設がある。

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