北斗星(10月12日付)

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 東京電気化学工業(現TDK)を創業した斎藤憲三(1898~1970年)の生誕120年記念展が出身地・にかほ市平沢にあるTDK歴史みらい館で開かれている。会場には同社の部品が組み込まれた家電などが並ぶ

▼黒電話やブラウン管テレビ…。今はほとんど見られなくなった昭和の思い出の品々が、中高年には懐かしい。時代が古い順に展示され、変遷ぶりがよく分かる。大型のブラウン管テレビが薄型液晶テレビに、黒電話は携帯電話やスマートフォンになった。同社の開発した部品がその変革を支えてきた

▼こちらは「100年に一度の大変革期」を迎えているという。米国フォード・モーターが約100年前に大量生産を始めて産業、生活を大きく変えた自動車業界

▼車のIT化が急速に進み、自動運転を巡る技術開発が盛んだ。自動車メーカーもこのまま造って売るだけでは時代に対応し切れない。トヨタ自動車は新たな事業展開には情報通信企業との連携が必要だとして、携帯大手ソフトバンクと提携した

▼公共交通の少ない過疎地で移動に悩む「交通弱者」への配車事業などに力を合わせ、車の可能性を追求する。高齢化が進む地方の暮らし向上に役立つのか。提携事業の目標に地域活性化への貢献を掲げており注目したい

▼企業は時代の変化への対応を常に求められる。TDKの歩みやトヨタの挑戦はそれを物語る。共通するのは変化を重荷と捉えず、チャンスに変えていく前向きな発想だろう。