地域を味わう[京都・レストラン列車]旬の味覚と景色堪能

お気に入りに登録
※写真クリックで拡大表示します
京都府北部の旬の魚介類や野菜をふんだんに使った「ランチコース」の料理の一部

 車窓越しに広がる日本海や田園風景と一緒に、魚の刺し身やすし、野菜の炊き合わせなど京都府北部の旬の味覚を堪能することができる。若狭湾に注ぐ河口に架かる由良川橋りょう(京都府宮津市、舞鶴市)や、快晴の日は白山(石川県、岐阜県)が見えることもある奈具海岸(宮津市)の眺望スポットでは減速や一時停車するサービスもある。海の青と山の緑が織りなす景色がゆっくりと移り変わり、ぜいたくな気分を味わえる。

 日本三景・天橋立がある宮津市を中心に運行する京都丹後鉄道(丹鉄)のレストラン列車「丹後くろまつ号」は、地元グルメや観光名所といった沿線の魅力を発信しようと2014年に誕生した。漆黒の車体に木の温かみが感じられる内装が特徴で、JR九州の豪華寝台列車「ななつ星in九州」などを手掛けた水戸岡鋭治氏がデザインした。

 年間約7千人が乗車するくろまつ号は、季節ごとに複数のコースを入れ替える。今年は定番の「ランチ」のほか「ブランチ」や「スイーツ」などを展開。また、途中下車して地元住民らが催す駅マルシェや観光施設などを巡るコースもあり、食と沿線の文化を体感してもらう工夫も凝らす。

 くろまつ号に欠かせないのが、ブレザーにネクタイの制服姿で乗務するアテンダントたち。料理の配膳から地域の歴史や名所を紹介することはもちろん、乗客一人一人に笑顔で声を掛ける丁寧な対応が評判だ。寺内ちひろさん(34)は「乗客の要望を先回りして把握し、くろまつ号ならではのサービスをアテンダント全員で考えている」と話す。乗客の誕生日に手作りのメッセージカードを手渡したり、外国人観光客には国の言葉で見送ったりするなどおもてなしに力を入れる。

 そんな中、7月の西日本豪雨によって沿線各所で土砂の流入などが発生し、くろまつ号も約2カ月にわたる運休を余儀なくされた。再開後間もない9月初旬、天橋立―西舞鶴間を走るランチコースに家族で乗車した矢野浩二さん(58)=埼玉県久喜市=は「海や山の景色と食事が一度に楽しめる列車は首都圏ではなかなかない。車内アナウンスも分かりやすく、また乗ってみたい」と喜んでいた。

 旅を満喫してもらうため「できる限り、お客様目線でのおもてなしに努めたい」と寺内さん。レストラン列車の模索が続く。

 (京都新聞社)

【京都丹後鉄道レストラン列車】

9月まではブランチ、ランチ、スイーツの3コースだったが、今月に入りブランチがほろ酔いコースに替わった。コースや内容は季節ごとに変更する。金、土、日曜と祝日に運行。予約制。問い合わせは丹鉄TEL0772・25・2323