社説:自殺予防対策 ワースト脱却で弾みを

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 県内の自殺者数が今年、大幅に減少している。県警のまとめでは、1~9月の合計は149人で前年より48人減っている。昨年1年間の自殺者数は245人で記録が残る1979年以降で最少だった。今年は昨年に続き過去最少の更新と、自殺率(人口10万人当たりの自殺者数)の全国ワースト脱却の可能性が高まっている。

 自殺者数を減らし、自殺率を下げることは本県の重要課題の一つである。昨年の自殺者数は過去最多だった2003年の519人から半減、自殺率は24・3で同年の44・6から大きく低下した。ただ国全体の自殺者数が減少傾向にある中で、本県の減少幅が小さかったことから、3年連続でのワーストとなってしまった。

 今年1~9月の本県の自殺者数の減少率は24・4%で、全国平均の6・8%よりも減少幅が大きい。このまま推移すれば全国ワーストからの脱却は十分期待できる。両数値の減少、低下は関係者が自殺予防に真摯(しんし)に取り組んできた成果であることは間違いない。

 本県では長年、民間団体が主導し、医師会や行政、大学の研究者と連携して自殺予防運動を推進してきた。民・学・官が連携した取り組みは「秋田モデル」として県外からも評価を得ている。秋田モデルを発展させて、一層の自殺者数の減少につなげたい。

 秋田モデルは全国の行政や自殺予防団体の関係者からも注目されている。昨年11月には首都圏の行政や報道関係者を集めた全国フォーラムが都内で初めて開催された。本県の民間団体や医師、行政の担当者らが基調鼎談(ていだん)や公開討論などを行い、地域社会が自殺予防に果たす役割などを紹介した。同時に若者の自殺が多い都市型の傾向と対策を学んだ。

 海外でも秋田モデルを自殺予防運動の参考にしている。韓国・忠清南道(チュンチョンナムド)(忠南=チュンナム=)の行政機関は2013年から、本県の民間団体と交流している。忠南の17年の自殺率は31・7。国内16地域でワーストだが、本県との交流の成果が徐々に現れているとしており、自殺者数、自殺率ともに減少傾向にある。先月には忠南の行政視察団が来県し、秋田市で意見交換会を開いた。今後も交流を継続するとともに、連携を深めることを確認した。

 県の自殺対策計画(18~22年度)では自殺者を22年までに16年比で25%減の180人以下に、自殺率を4・5ポイント低い19・3以下にすることを目標に掲げている。目標達成に向けては、それぞれの地域に合ったきめ細かな対策を進めていくことが求められる。

 本県の自殺予防運動は自殺率ワースト返上を目的に始まった。ワースト脱却は自殺予防に携わる人、団体にとって大きな励みになる。年末に向け、1人でも多くの悩みを抱える人たちを救っていきたい。