社説:携帯料金値下げ 利用者本位のプランに

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 NTTドコモが携帯電話の通信料の値下げ方針を発表したのに続き、KDDI(au)とソフトバンクも値下げを検討していることを表明した。携帯電話大手3社が値下げで足並みをそろえた。3社とも具体的な料金プランなどの設定はこれからであるが、利用者本位に立ったわかりやすいシステムを示すことが求められる。

 携帯電話は今や1人に1台の時代。日常生活はもちろん、災害時には安否確認や災害情報、避難情報の入手に欠かせない生活インフラである。

 総務省の家計調査では全世帯平均の電話通信料は年々上昇しており、2017年は年間12万2千円。消費支出に占める割合もアップ、同年は4・18%となった。家計の中で負担となっている面は否めない。大手3社の値下げへの動きは歓迎できる。

 複雑で理解するのが難しい料金体系には利用者から厳しい批判があるのも事実である。使わないと思われるサービスとセットにすれば安くなるなどの説明を受けて、釈然としないままに契約している利用者は少なからずいるはずだ。

 ドコモは携帯端末の購入代金と通信料金をセットにした料金体系を見直し、端末代金と通信料金を切り分けた「分離プラン」と呼ばれる料金体系で値下げする方針。通信料金を2~4割下げる。KDDIは「低価格化、シンプル化に向けて積極的に対応する」、ソフトバンクは「しっかり対応し、顧客還元していく」などと話している。

 今回の値下げへの動きは、菅義偉官房長官がことし8月、「4割程度下げる余地がある」と発言し、事実上の値下げ要求を表明したことが契機となった。3社が値下げの発表、検討を表明したのは政治圧力に屈して追い込まれたようにも見える。

 政府に携帯料金について指導する権限はない。それでも値下げを求めたのは家計負担を少しでも軽減し、他の消費に回してもらいたいとの狙いがある。来年10月の消費税増税対策の一つとも取れ、政府の姿勢をアピールする目的も透ける。

 一方で大手3社からは明確な反論はなかった。本来であれば現行料金の正当性を主張するのが筋である。それができなかったのは高額な料金だったことを自ら認めたようなものだ。政府圧力がなければ、利用者はこのまま高い料金を支払い続けなければならなかったのだろうか。

 3社はこれまでの経緯について説明責任を果たさなければならない。利用者と誠実に向き合い、利用者が値下げメリットを享受できたと納得できる料金システムを探るべきである。

 大手3社で携帯事業がほぼ独占されているのは異常であり、競争原理が働きにくい。来年には楽天の参入が決まっているが、まだ不十分である。政府は新規参入促進に向けた環境を整えることにももっと力を注ぐことが求められる。