社説:スポーツ界不祥事 倫理教育の徹底必要だ

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 スポーツ界の不祥事が相次いでいる。度重なる問題を受け、国主導で競技団体の監視を強化する仕組みが検討されるほどだ。異常な事態である。

 サッカー女子・U―17(17歳以下)の日本代表監督が辞任した。女性職員への不適切行為があったという。女性職員が不快に感じ、上司に相談。日本サッカー協会が双方から事情を聴いた結果、監督を続けさせるのは困難と捉えた。監督と職員の間に見解の相違もある中、女性の思いを尊重した形だ。

 サッカー界では昨年6月、Jリーグの常務理事がセクハラ、パワハラで退任した。被害を受けた職員が相談窓口に訴え、弁護士の調査で事実が発覚した。このとき再発防止の徹底、組織改善を掲げたにもかかわらず、今回また同じようなことが繰り返されたのは極めて残念だ。協会の規律、倫理観が問われる。ガバナンス(企業統治)、コンプライアンス(法令順守)を改めて見直すべきだ。

 今年1月にレスリング五輪4連覇の伊調馨選手へのパワハラに関する告発があり、栄和人氏が協会の強化本部長を辞任するに至った。5月にはアメリカンフットボールの日本大の選手が関西学院大との定期戦で行った危険なタックルが監督、コーチの指示と判明した。

 さらに7月にはボクシングの助成金不正流用が問題化。暴力団組長との交友関係も明るみに出た山根明氏が連盟会長を辞任した。体操のパワハラ、バスケットボールの男子代表の買春、日本体育大の駅伝監督の暴力、パワハラも起きた。

 これだけ不祥事があるのかとあきれてしまう。だが隠蔽(いんぺい)されているものがまだあるのではないか。問題があったら公表し、うみを出し切るべきだ。

 スポーツ界ではハラスメントが生じやすい。指導者と選手の力関係、先輩と後輩の上下関係が存在し、多くは男性中心の世界で閉鎖的である。これらは現場だけでなく、競技団体の運営にも持ち込まれる。今後は外部の人材を積極的に起用して組織の改善を図る必要がある。

 超党派のスポーツ議員連盟の有識者会議は、国が新たに策定する競技団体の運営指針に沿って、団体を定期的にチェックする制度の導入を柱とした提言をまとめた。だが、まずは各競技団体、学校、クラブなどが倫理教育を徹底する必要がある。これができないと、健全な組織運営はあり得ない。

 関西のある大学は「アスリートハンドブック」を作成し、指導者と選手に配布した。本来あるべき姿や禁止事項を記し、教育を周知させるための指針だ。指導者には研修も行い、起こり得るさまざまなケースを想定し、問題が起きた場合にどう対応すべきか考えるという。

 何より大切なのは、選手が練習しやすい環境を整えることだ。旧態依然とした体質は早急に改める必要がある。