社説:「秋田犬の里」整備 外国人客呼び込む核に

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 大館市がJR大館駅前で新たな観光交流施設の整備を進めている。名称は「秋田犬の里」。人気の高い秋田犬を2匹以上常駐させるなどし、来年春の大型連休中にオープンする予定だ。

 秋田犬に触ったり写真を撮ったりできる「秋田犬ふれあい処(どころ)」が昨年夏、大館駅前に開設された。秋田犬の里にはこの機能が移され、犬の展示・触れ合いや物産販売のコーナーが設けられる。インバウンド(訪日外国人客)を増やして交流人口の拡大を図りたい。

 大館市の観光入込客数は2015年188万人、16年228万人、17年244万人で推移。インバウンドの盛り上がりや秋田犬人気などで増加しているものの、立ち寄り型観光から脱却できていない。

 秋田犬の里はメイン施設が鉄骨造り一部2階建て、延べ床面積1246平方メートル。大館生まれの忠犬ハチ公が大正から昭和にかけて飼い主を待ち続けた頃の東京・渋谷駅舎がモデルだ。犬を運動させられる芝生広場(2174平方メートル)や多目的広場(5675平方メートル)も併設される。大型バス5台を含む112台分の駐車場も備わる。

 大館市内で秋田犬に会える秋田犬会館や秋田犬ふれあい処が団体客を多く呼び込めていないのは、駐車場に余裕がないことが一因だった。秋田犬の里が広い駐車場を備えることは、国内外の旅行会社や隣県を含むバス会社などへの売り込みで強調すべき点だ。

 インバウンドは今後も伸びが期待されるが、団体旅行の周遊ルートが大館市中心部から北秋田市北部にかけて途切れることが課題になっている。

 例えば、旧小坂鉄道の一部を活用して営業する大館市雪沢地区のレールバイク体験施設に青森県側から入った台湾の団体客の多くは、その後本県を南下せず、岩手県に抜けていく。秋田内陸線では角館―阿仁合間に利用が集中し、大館周辺まではなかなか足を運んでくれないという。

 秋田犬の里が、途切れたルートを結ぶ役割を果たすことが期待される。ルート形成をより確実にするには、北秋田市の綴子大太鼓などインパクトの大きい観光資源を、外国人向けにあらためて売り込む手もあるだろう。

 ハチ公の縁で結び付きの強い東京都渋谷区のほか、北海道函館市や仙北市角館町と同じ「館」が地名にある縁で昨年スタートした「3D連携」の協力関係を生かしたインバウンド誘致にも力を入れるべきだ。宿泊を含め、長く滞在する観光地域づくりにつなげたい。

 秋田犬の里整備をきっかけに、「秋田に行けば秋田犬に会える」ということを観光客に一層浸透させる必要がある。秋田市や横手市など他の秋田犬触れ合い施設も含め、観光振興の相乗効果が生まれることを期待したい。