北斗星(12月17日付)

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 落語「宿屋の富」は、大金持ちのふりをした宿屋の客が主人におだてられるままに買った富くじを巡る噺(はなし)。「金なんか邪魔。当たったら半分あげる」と大きいことをいうが、実は富くじを買ったことで一文無しに

▼その1枚の富くじが千両当たる。客は気が動転して宿屋に帰り寝込んでしまう。一方の主人も当たりを確認、喜び勇んで戻ると、げたを脱ぐのも忘れ客がいる2階に駆け上がる。客は「千両ぐらいでがたがたするな。げた履いたまま上がってきやがって」とたしなめるが、主人が客の布団をめくると、客も草履を履いたままだったというのが落ちである

▼忘年会の席上で、「好きなものをごちそうする」「残りの人生を悠々自適に暮らす」など次々と妄想話が飛び出す。毎年よくも同じ話題で盛り上がる。年末ジャンボ宝くじのことである

▼宝くじを「夢を買う」とはよく言ったもの。抽選日まで「高額当せんしたら」と夢を見ながら過ごすのは至福の時でもある。夢がかなうのはほんの一握りの人なのだが

▼残念ながら身近で当たった人を見たことがない。いや、本当は身近にいるのかも。口をつぐんでいるだけかもしれない。宿屋の客ではないが、当たってみないとどんな行動を取るのか想像もできない

▼年末ジャンボの販売は21日までで、抽選は大みそか。「買わなければ当たらないが、買っても当たらない」。毎年同じことの繰り返し。それでも今年こそはもしかしたらと、窓口へ足を運んでしまう。