北斗星(12月19日付)

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 もつ鍋に寄せ鍋、それにちゃんこ鍋…。みそ、しょうゆ、塩など複数の味を楽しめる鍋は多い。一方、こちらはしょうゆベースが定番だろう。比内地鶏のだしを利かせた郷土料理のきりたんぽ鍋。ところが最近は、みそ味を提供する店も出てきた

▼今月から新たにメニューに加えたのは秋田市の飲食店。鍋の中はきりたんぽのほか豚肉、シイタケ、ナメコ、セリ、ネギなど具材がぎっしり。ショウガ入りのみそ仕立てのスープが独特の風味を醸し出し、具材との相性も抜群だ。店主によると「みそ味もうまい」と客の反応は上々だという

▼県味噌醤油(みそしょうゆ)工業協同組合がレシピを考案し、この夏から普及に取り組んでいる。うま味を豊富に含む秋田みそを使い、豚肉やキノコ、野菜も県産の利用を求めた

▼背景にあるのはみそ消費の減少だ。組合によると、県内業者の出荷量は人口減や洋食嗜好(しこう)が影響し、過去20年で3割超の減少。大きな危機感があった。このため組合青年部のメンバーらが試食会などを開いて、まずは県内への浸透を図った

▼みそ味の鍋を出す協力店舗は徐々に増え、現在は16に上る。「家庭にも普及させたい」と青年部の三浦将人会長。全国各地に「地元のみそ」があるため、秋田みそを単独で県外に売り込むのは難しいものの、きりたんぽ鍋の高い認知度を生かせば販路拡大も可能と見込んでいる

▼しょうゆと並ぶ定番になる見込みは十分にありそう。新レシピ登場で郷土料理の可能性が広がっている。