社説:子どもの貧困対策 法改正機に体制強化を

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 貧困対策の計画策定を都道府県の努力義務と規定した「子どもの貧困対策推進法」(2014年施行)に関し、市町村にも計画策定を求める改正案が、早ければ今月末に召集される通常国会に提出される見通しとなった。貧困世帯へのきめ細かな支援体制を構築する上で市町村の役割は大きい。対策をさらに推し進めるためにも市町村の役割を明確にすることは重要だ。

 推進法施行を受け、県は対策推進計画(16~20年度)を策定。地域の実情に応じた効果的な対策を講じるため、いち早く市町村の役割を明確化している。実態や支援ニーズの把握に努め、教育や福祉などの関係機関、地域の企業、NPO、自治会などと連携・協力し、地域ネットワーク体制を整備するよう市町村に求めている。

 中でも、法改正を待つことなく自治体ごとの推進計画策定を盛り込んでいるのが特徴である。県内では既に秋田市、大館市など16市町で対策推進計画を策定済みか策定中だ。法改正の動きが他の自治体の計画策定を後押しすることを期待したい。

 県内では、地域ネットワーク体制を築くための組織づくりがまだ進んでおらず、地域を挙げた支援はこれからが本番だ。県と市町村がそれぞれの役割を自覚し、貧困世帯を守る総合的な対策につなげる必要がある。

 子どもの貧困が社会問題化して久しい。厚生労働省の16年国民生活基礎調査によると、子どもの貧困率(平均的な所得の半分に満たない家庭で暮らす18歳未満の子どもの割合)は15年時点で13・9%で、およそ7人に1人に上っている。

 県内でも生活保護世帯の子どもの大学進学率は一般世帯の半分以下という状況で、高校の中退率も高い。母子家庭では仕事が非正規という保護者が多く、雇用形態が不安定なことも課題だ。家庭環境によって教育機会に格差が生じることがあってはならない。保護者の就労支援の強化は不可欠だ。

 県は対策推進計画の重点施策として▽問題ケースの早期把握▽関係者の連携による適切な支援制度へのつなぎ▽複雑なケースを解決に導くための支援策のコーディネート―を掲げた。新規事業として、子どもの学習支援や保護者に対する家計相談などを実施している。

 県内ではNPOや社会福祉協議会などが運営する「子ども食堂」や民間の学習支援活動なども活発化している。子どもや保護者に今、どんな支援が必要か。行政、関係機関・団体が連携し、個々のケースに柔軟に対応することが大切だ。

 法改正に当たっては、市町村の計画策定にとどまらず、これまでの5年間を検証し、改善すべき点などを具体的に議論することが欠かせない。国には都道府県、市町村が滞りなく事業を行う環境を整えると同時に、そのための十分な財政支援を求めたい。