北斗星(1月11日付)

お気に入りに登録

 1円玉が初めて製造されたのは1955年。銅主体の合金やニッケルで作られた他の硬貨とは異なり、新貨幣はアルミニウム製で重さはわずか1グラム。水に浮くほど軽かったせいか、当時の評判はあまりよくなかったらしい

▼その1円玉が財布の中で重みを増したのは89年。3%の消費税が導入され、1円単位で買い物をする機会が増えた。国は1円玉を増産。翌90年には過去最多の27億6895万枚が作られた

▼消費税率は現在8%。買い物は1円単位での支払いが多いが、流通量は減少傾向にある。釣り銭不要の電子マネーやスマートフォンでの決済が増えているからだ。本年度製造される1円玉は44万8千枚と過去2番目の低水準。しかもすべて貨幣セット用で、流通向けの製造はこの3年間ストップしたままだ

▼今年10月には消費税率が10%に上がる。端数が出にくい税率である上、景気対策として中小小売店で実施するポイント還元はキャッシュレス決済のみが対象となった。出番はますます少なくなりそうだ

▼だが、今後も1円玉抜きには考えられない活動もある。秋田市PTA連合会が40年近く続けている「1円玉募金」がその一つ。市内小中学校の児童生徒が持ち寄った募金総額は3600万円超に上る

▼全額が交通遺児や児童養護施設などに寄付されてきた。「小額でも積み重ねれば大きな力になる」と連合会。1円玉の善意の結集を重さに換算すると36トン超。一人一人の気持ちもずしりと伝わってくる。