北斗星(1月24日付)

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 研究が進まず自問していたのだろう。「ダメだ、ダメだ」と仲間が口癖のように言っている。英文学者の外山滋比古さんは「自分だけ苦労しているのではない」と意欲が湧いた。自著の「思考の整理学」(ちくま文庫)につづっている

▼茨城県の営業戦略部長が先頃、県都の水戸市を「水戸はダメだな。死ね!」とフェイスブックに書き込んだとして、厳重注意処分を受けた。自らを「ダメだ」と奮い立たせるならまだしも、他をおとしめるような使い方は避けたい

▼茨城県は民間の調査会社による都道府県の魅力度ランキングで6年連続の最下位。同部長は脱却に向けて、先頭となって情報発信や観光振興に取り組む立場にある。そんな人が地元を「ダメだ」と発言するようでは本末転倒だ

▼本県も各種統計などで全国最低やワーストにランクされ、脱却が求められる課題を抱えている。人口減少率やがん、脳血管疾患の死亡率などだ。関係者はそのための対策に取り組んでいる

▼警察庁の速報値によると、本県の自殺率は4年ぶりにワーストから脱した。民学官が連携した長年の予防対策「秋田モデル」が実を結んだという見方もある

▼外山さんは「人間は欠点を見つけるのがうまく、長所を発見するのが下手」とする一方で「褒められた人の思考は活発になる」と指摘する。自殺数は減少し、自殺率も低下傾向にある。関係者の地道な努力を評価するとともに、一層の改善へ向け活動が活発化することを期待したい。