遠い風近い風[佐々木桂]伯母の死に正法眼蔵

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 年末、父方の伯母が亡くなった。それが何ともすてきな亡くなり方だった(伯母ちゃん、失礼!)。前日が85歳の誕生日で伯父ちゃんと二人で祝ったらしい。もはや日課としか思えない夫婦ゲンカで(これが仲良しの秘訣=ひけつ=だったんだろう)、いつものように伯父ちゃんに思いっきり毒を吐き(笑)、すっきりして布団に入り、翌朝そのまま旅立った。伯母ちゃんらしい最期だ。

 僕は伯父ちゃん、伯母ちゃんの住む東成瀬村の菅ノ台という地が大好きだ。菅ノ台をテーマにした詩も何編か書いた(僕のブログ「桂乃詩郷(うたざと)」に、これを機に載せてあります)。県道から橋を渡り、山道を入って行った先に開ける、雄大な山々を背景に数軒の家々が散(ち)りばめられた、あの絵葉書(はがき)のような風景がたまらない。子供の頃から行き慣れたその場所に、もう「おかえり」と言ってビールを勧めてくれる伯母ちゃんがいないんだと思うと、ちょっと寂しい。

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