社説:千葉小4女児死亡 問われる市教委の対応

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 千葉県野田市の小学校4年栗原心愛(みあ)さん(10)が自宅浴室で死亡した事件で、父親に続いて母親も傷害容疑で逮捕された。女児は以前、小学校のアンケートを通じて父親から虐待を受けていたことを訴えていたが、幼い命は守られなかった。事件の全容解明が求められるとともに、教育現場や児童相談所の対応が問われている。

 女児は先月死亡し、父親が千葉県警に逮捕された。女児に冷水シャワーを掛けたり、首付近をわしづかみにしたりした傷害容疑だ。「しつけのつもりで、悪いことをしたとは思っていない」と供述している。母親は、そうした父親の行為を制止しなかったのが共謀に当たるとして逮捕された。

 女児が父親からの虐待を訴えたのは一昨年11月。小学校のアンケートに、殴られたり蹴られたりしたことを訴える内容の回答を寄せた。精いっぱいの「SOS」だっただろう。その後、児童相談所に一時保護された。ところが保護解除後の昨年1月、市教育委員会はこのアンケートのコピーを父親に渡してしまった。女児に対するとんでもない裏切り行為だ。

 父親は学校がアンケートを行ったことを知っていたとみられ、校長や市教委職員と面談した際、女児の回答を見せるよう執拗(しつよう)に迫った。女児の同意書がないからといったんは拒否したが、後日女児の同意書を持参して再び現れたため、やむを得ずコピーを渡したという。

 女児が進んで同意するはずがない。父親の威圧を受ける中で無理やり書かされたのが実態だと容易に想像がつく。だが担当課長の判断で渡したという。少なくとも最初の面談時から児童相談所に相談し、連携して対応するべきだった。市教委は「配慮を著しく欠いていた」などと陳謝したが、あまりに軽率である。

 児童相談所にも大きな問題がある。女児の保護解除は「虐待の程度は重くない」との判断からだったが、引き続き関わりを続けることを前提にしていた。にもかかわらず、女児が自宅に戻った後は一度も家庭訪問などを行っていなかった。千葉県は第三者委員会で対応を検証するとしている。事件に至る経緯を詳細に調査し、各機関の責任を明確にしてもらいたい。

 女児が野田市に引っ越す前に住んでいた沖縄県糸満市での対応も問われる。父親が女児をどう喝しているとの情報が親族から寄せられたのに、同市は野田市にその情報を伝えなかった。家庭訪問することを要求したものの応じてもらえず、虐待を確認できなかったというのが理由だ。リスクを考慮し、情報を伝えるべきではなかったか。

 児童虐待は後を絶たず、毎年過去最多を更新し続けている。人手が足りず、対応は容易でないだろう。だからこそ児童相談所や学校、警察など関係機関の連携が重要だ。