社説:自民党大会 責任政党の役割果たせ

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 自民党は党大会を開き、統一地方選と参院選での勝利を目指すとともに、憲法改正に向けて世論喚起を図るとした2019年運動方針を採択した。

 今年は統一地方選と参院選が12年に1度重なる「亥(い)年」選挙の年である。第1次安倍政権で臨んだ12年前の亥年の参院選で自民党は惨敗し、その後退陣に追い込まれた。安倍晋三首相は党大会で「当時総裁だった私は、惨敗の責任を片時も忘れたことはない」と力を込めた。まさに前回の雪辱を期す重要な政治決戦の年と位置付けている。

 自民党は「責任政党」「政権政党」としての役割を果たしているのだろうか。自民党は幅広く、多様な意見を戦わせる懐の深い組織であり、活発な議論の中から政策を形成してきたはずである。しかし「安倍1強」「自民1強」が長期化するに伴い、議論は停滞して、数の力で法案を次々と通す組織と化している面は否めない。

 「おごり」が目立ち、「謙虚さ」を忘れてしまったようにみえる。運動方針には国政選挙で勝利しても毎年のように政権運営を進める上での自戒の言葉が盛り込まれてきた。昨年は09年の下野に触れ「この苦い経験を忘れた時、国民は再び自民党に鉄槌(てっつい)を下す、ということを忘れてはいけない」と記した。だが、今年の党大会ではこうした言葉がなくなってしまった。今後も強引な政権運営が続くようならば、再び鉄槌が下される可能性がある。

 選挙に向けて態勢を固めることは大切であろう。しかし今、真っ先に取り組むべきは毎月勤労統計をはじめとする政府の基幹統計の不正問題解明である。毎月勤労統計の不正はアベノミクスの賃金面での成果を強調することが目的だったのではとの疑念も生まれている。

 与党は議院内閣制の下では政権の基盤ではあるが、一方では国会の多数派として政府を厳しく追及し、正しい方向に導く使命がある。「責任政党」を自負するならば、国会の場でその使命を果たすことが求められる。

 憲法改正について、安倍首相は21年9月までの総裁任期中に実現したい考えであり、参院選後に本格的な論議に入ると見込まれている。現在衆参両院で改憲に前向きな勢力は発議に必要な3分の2以上を占めている。参院選の結果が成否の鍵を握ることは間違いない。引き続き改憲勢力が3分の2以上を保てるかどうかが、勝負の分かれ目となる。

 しかし改憲は最優先で取り組むべき課題であろうか。あらためて改憲の必要性などについて検討すべきである。

 学校法人森友学園、加計(かけ)学園を巡る問題もまだ解決したわけではない。うやむやにしたままでは許されない。目の前にある課題一つ一つと真摯(しんし)に向き合い、優先順位を付けた上で、真相を究明し、解決していくことが求められる。