社説:大館・釈迦内PA 特徴生かす活用策探れ

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 大館市は、秋田自動車道の釈迦内パーキングエリア(PA、同市釈迦内)を地域活性化に生かそうと、産学官共同で勉強会を重ねている。同PAは、県内の高速道でサービスエリア(SA)を含めても唯一、上下線の施設が一つに集約され、いずれの方向からも出入りできる共用型となっている。この特徴を最大限に生かし、観光振興などに結び付けられるよう活発な議論に期待したい。

 同PAは秋田道の大館北インターチェンジから北に約1・5キロにある。国が直轄方式で整備し、2013年に供用された。3万7千平方メートルの敷地に普通車28台、大型車14台分の駐車スペースとトイレなどを備える。

 上下線共用型であることに加えて、無料区間にあることも特徴の一つ。このため、施設に立ち寄ったドライバーが、料金を払い高速道から一度降りて再び乗り入れなくとも、来た方向に直接戻ることができる構造になっているのだ。

 市は一昨年秋、国土交通省の事業を活用し同PAを発着点とする「パークアンドライド」方式の市内観光に関する実証試験を行った。観光客にマイカーで同PAまで来てもらい、バスに乗り換えて市内の名所を巡る手法が受け入れられるかどうかを探るのが狙いだった。

 専用のバスを9日間運行し、利用者は計90人。アンケートで利用者の9割以上から「満足」「やや満足」の回答を得た。自分で名所や駐車場の位置を調べたり慣れない市街地を運転したりせずに済む手軽さと、駐車したPAから自宅に帰りやすいことなどが好評だったようだ。

 勉強会は昨年、実証実験の結果を今後の活用策に生かすことはもちろん、PAの特徴を踏まえた活性化策を多角的に検討する目的で発足した。メンバーは市、県、国など行政関係者のほか、バス、トラック会社代表、秋田大、弘前大の教員や研究員も加わっている。幅広い分野の知恵を集め、多様な意見を出し合って効果的な方策を見いだしてほしい。

 大館市は秋田犬の古里として、国内はもとより海外からも関心が高まっている。一昨年夏にJR大館駅前に開設した「秋田犬ふれあい処(どころ)」は多くの観光客でにぎわっている。5月にはその機能を移し、魅力を高めた観光交流施設「秋田犬の里」がオープンする。こうした追い風を一層の観光振興につなげることが重要だ。その中で、特徴のあるPAを活用し、誘客を図ることには大きな意味がある。

 市は新年度、勉強会を検討会に発展させて協議を続ける考えだ。勉強会では観光振興に限らずPAを災害時の物資輸送拠点とする案や、近くを走るJR奥羽線、国道7号と連携した物流拠点とする案なども出ている。事業費や採算性の課題もあるが、一つ一つ解決策を模索し、大館の将来につながる具体案をまとめてほしい。