北斗星(2月26日付)

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 田舎のネズミが町のネズミに誘われて都会に出掛けた。豆、イチジク、チーズ…。人間の家にはごちそうがたくさんある。だが近づこうとしても、人の気配がするから危険でなかなか手が出せない。こんな不安定な暮らしはごめんだと田舎に帰っていく。ご存じのイソップ寓話(ぐうわ)だ

▼寓話のネズミは都会になじめず、のんびりした田舎の良さを再認識する。人間界はどうかといえば、便利で快適な生活を求めて都会を選択する若者は少なくない。刺激の多い暮らしが性に合うという人もいる。何より、働く場が豊富なのが魅力だ

▼地方から大都市圏への若者の流出に一向に歯止めがかからないことが、それを物語る。就職先は県内か、県外か。若者の職業選択は、地方の将来人口を大きく左右するだけに見逃せない

▼県が4年前に若者の動向を分析した「秋田の人口問題レポート」によると、県内外の大学や短大、専門学校などに進学した本県出身者の就職先は、県内がおよそ半数にとどまった。これをどう高めていくかが県の大きな課題となっている

▼最近の若者は就職先を選ぶ際、何を決め手にしているのだろう。東京の就職情報会社が今春就職予定の大学生に尋ねたところ、トップは「自分の成長が期待できる」との回答。「年収の高さ」「企業規模」を大きく上回っている

▼中小企業が大半の本県にも、可能性は大いにある。それぞれの企業の価値を磨き上げ、自らを成長させたいとする若者たちの思いに応えたい。