まとめ:「雪の茅舎」の齋彌酒造店とは

お気に入りに登録

 NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」でも話題となった齋彌酒造店(由利本荘市石脇)に関する記事をまとめました。

「酒造り、課題尽きず」 高橋杜氏、秋の褒章・黄綬褒章

蒸したコメに種こうじを混ぜる高橋さん

(2012年11月02日掲載 )


 「酒は自然からの授かり物。人も酒もバランスが崩れれば、調子が狂う。杜氏(とうじ)の仕事はただ見守ることです」

 「山内杜氏」で知られる横手市山内で生まれた。冬に酒蔵へ出稼ぎする男が多い環境で育ち、18歳で「当たり前のように」蔵人(くらびと)になった。夏は酒米作り、冬は酒造りに励んで半世紀。31歳で青森県弘前市の酒蔵で杜氏を任されて研さんし、39歳で由利本荘市の齋彌酒造店に移った。

 齋彌酒造店で微生物の働きに任せた手法を思い立ち、発酵中のもろみをかき混ぜる作業をやめた。業界の常識に反する方法に、仲間の杜氏らは「蔵をつぶすぞ」と心配したが、1991年の全国新酒鑑評会で最高賞の金賞を受賞。県内の杜氏で最も若い年齢での受賞だった。99年からは7年連続金賞を獲得した。

 熱心な研究姿勢と柔らかな物腰。人柄を慕い、弟子入りを望む蔵人は多い。若手には「酒造りの課題は尽きることがない。挑戦し続ける精神を持ってほしい」と願う。自らも理想を追い求めている。

 間もなく今冬最初の搾りが始まる。「この時季が最も楽しみ。思いを込めて醸した酒を、誰よりも早く口に運べる。こんなぜいたくなことはない。まっ、ただの飲んべえですな」。夢見るような笑顔を見せた。

古民家、土蔵をカフェに 齋彌の発酵文化体験

カフェなどに改築される「田屋」

(2018年9月5日 掲載)

 秋田県由利本荘市石脇の齋彌酒造店(齋藤浩太郎社長)は、同社向かいにある同社所有の昭和初期の古民家「田屋(たや)」と、敷地内にある土蔵などを活用し、ショップやカフェを併設した施設を整備する。さまざまな発酵食品の販売を通じ、県が推進する「あきた発酵ツーリズム」の発信拠点とする。交流人口の拡大や雇用の場の確保を目指す。早ければ19年4月のオープンを予定している。

 同社によると、田屋は平屋建て(面積165平方メートル)。これまでもイベントスペースとして活用してきたが、改築しショップとカフェにする。

 ショップでは、同社が製造する酒かすや甘酒、奈良漬をはじめ、市内外のさまざまな発酵食品を販売。カフェでは酒かすを使ったスイーツなど自社商品を活用したメニューを開発、提供する。

 田屋の裏手にある二つの土蔵も、日本酒のオリジナルラベル作りや料理体験教室などが可能な体験工房(69平方メートル)とトイレ(47平方メートル)にそれぞれ改築する計画だ。

 さらに、発酵食品の開発や製造を行う工場(122平方メートル)も敷地内に新築する。自社商品の充実、生産拡大につなげる狙い。

 田屋とトイレ、新工場は渡り廊下でつなぎ、来場者の利便性を高める。

 発酵ツーリズムは、日本酒やみそ、しょうゆといった県内の発酵食文化を新たな観光コンテンツとして活用しようと、県が民間企業や大学などと連携して取り組みを進めている。

 同社企画室の齋藤眞紀室長は「石脇地区は昔から水が豊富で発酵食品の文化が根付いている。この土地から発酵食文化を発信し、多くの人を呼び込みたい」と話す。

 齋藤社長は「酒蔵見学に訪れる人たちの興味関心が酒造りだけでなく、この地域の文化にまで広がってきている」と現状を語る。新たな施設の整備に向けては「より深く発酵文化が学べる場を提供し、秋田が持つ魅力を伝え、市、県の活性化につなげたい」と話した。

 事業は地域課題の解決につながる新産業創出を支援する総務省の「地域経済循環創造事業」に選ばれており、国から2500万円が交付される。総事業費は未定。

雪の茅舎 ANAファーストクラスの機内酒に

全日空国際線ファーストクラスなどの機内酒に選ばれた雪の茅舎。100ミリリットル(左)と720ミリリットル

(2014年08月23日掲載 )

 齋彌酒造店(由利本荘市、齋藤浩太郎社長)の「雪の茅舎 純米吟醸」が全日空の機内酒に選ばれ、2014年9月~15年5月の9カ月間、国際線ファーストクラスなどで提供される。齋彌酒造店は「世界に向けてブランド力を発信するきっかけになる」と期待する。

 雪の茅舎が選ばれたのは2007年冬に続き2回目。入札で選出された。成田、羽田、関西、名古屋の4空港を発着する北米、ヨーロッパ計8路線のファーストクラスで、720ミリリットル瓶(販売価格1500円)が希望者に無料提供される。期間中、8400本の出荷が見込まれる。

 国際線ビジネスクラスとプレミアムエコノミークラスは11月まで、国内線プレミアムクラスは来年2月まで、非売品100ミリリットル瓶を無料サービスする。

 雪の茅舎は原料に秋田酒こまちなどを使用、甘さと辛さのバランスが程よい。来月からの日本酒メニューとして、湯川酒造店(長野県)の「木曽路」、菊池酒造(岡山県)の「燦然(さんぜん)」と共に選ばれた。

秋田明治の建物:齋彌酒造店旧米蔵 コントラスト美しく

店舗の西側にあり、かつて米蔵、壜蔵、漬物蔵として使われていた3棟が納まっている覆屋

(2018年6月3日 掲載)

 「穴を掘れば水が出る」と言われるほど湧き水に恵まれている由利本荘市石脇地区。子吉川下流の右岸にある通称・石脇通り(市道)沿いに、和洋折衷の意匠が目を引く齋彌酒造店が立つ。旧米蔵、旧壜(びん)蔵、旧漬物蔵などは創業した1902(明治35)年ごろに完成し、かつては酒造りに使う米俵を運び込む人や蔵人らが頻繁に出入りし、活気があった。

 旧米蔵、旧壜蔵、旧漬物蔵は敷地の西側に並ぶ平屋建ての土蔵。3棟は風雪から守るように一つの覆屋(おおいや)に納まっており、一見すると1棟に見える構造になっている。真ん中に位置する旧米蔵の入り口には、ひときわ重厚な引き扉がある。

 旧米蔵は広さ約90平方メートル、高さ約5メートル。小屋組の内部に柱はなく、見上げると蔵の中央に黒い梁(はり)が1本ある。太さ約40センチの松材が使われ、建物をしっかり支えている。壁はしっくいの白と、格子状に組まれた木材の黒のコントラストが美しい。

 「雪の茅舎(ぼうしゃ)」などの銘柄で知られる齋彌酒造店は、齋藤彌太郎(1868~1953年)が創業。自伝書「70年を顧みて」(1937年発行)などによると、彌太郎は1893年に石脇で酒造業を営む齋藤家の養子となった。1902年に分家して独立、現所在地に店や邸宅を構えた。

 米蔵から土間と中庭を挟んだ先にある住宅には、客間として使っている和室がある。和室からは米蔵に出入りする人が見えた。

 彌太郎のひ孫で、4代目となる齋藤銑四郎・同社会長(79)は「子どもの頃、初代はいつも米蔵の方に向かって座っていた。人や物資の出入りを見ている姿が印象に残っている」と話す。

 現在は旧米蔵前に同社を紹介するパネルが設置され、パネルの後ろにはすだれも掛けられており、和室から旧米蔵はよく見えなくなった。

 米蔵は65(昭和40)年ごろまで米俵の貯蔵庫として使われていたが、98年1月にギャラリー「酒蔵さろん・角太(かくた)倶楽部」に改装し地域住民に開放。石脇地区のイベントや、絵画や手工芸品の展示などに使われている。同年9月、旧米蔵や住宅など10棟と門の計11件が国の登録有形文化財となった。

 由利本荘市の洋画家・河村彰さん(70)は2002年から毎年のように旧米蔵で個展を開いている。「建物の雰囲気が気に入っている。壁に絵を展示すると、格子状の建材が額縁のようにも見える。これからも個展会場として使わせてもらいたい」と語る。

 5代目の齋藤浩太郎社長(51)は「時代とともに用途が変わったものもあるが、創業当時から使ってきた建物をしっかり引き継いで行きたい」と話している。

秋田の「味力」パリでPR

2017年11月にパリで開かれた商談会の様子

(2018年9月15日 掲載)

 秋田県は2018年9月16、17の両日、北都銀行と連携し、パリで県産品の試飲試食会と商談会を開く。日本酒をはじめとした県産品を現地の飲食店関係者らにPRし、輸出拡大や海外での知名度向上を図るのが狙い。

 16日は、昼にシャンゼリゼ通りのルドワイヤン宮殿内にあるすし店「ラビス」、夜は「ル・ブリストルホテル」で、著名なシェフやソムリエらを招いて試飲試食会を開く。

 17日は同ホテルで商談会を行う。現地のレストランや流通関係者ら200~300人が参加する予定。

 北都銀は昨年5月、ラビスの経営に携わる卸販売会社ジャパン・エクスキーズ(東京、ルイ・ロブション・アベ社長)と、フランスでの県産品輸出に関する連携協定を結んだ。試飲試食会と商談会はこれが縁で開催される。昨年11月に続いて2回目となる。

 出展するのは、県内の酒造会社11社、食品製造会社など8社の計19社。日本酒やワインのほか、きりたんぽ、稲庭うどん、いぶりがっこなどをPRする。

 県秋田うまいもの販売課の担当者は、県産品の販路拡大に向け「発信力の大きいパリでPRすることで、海外での知名度向上はもちろん、国内の宣伝材料にもつなげたい」と期待した。

 出展する事業者19社は次の通り(かっこ内は本社所在地と、日本酒は代表銘柄、それ以外は主な出品商品)。

 ▽酒=秋田酒類製造(秋田市、高清水)、齋彌酒造店(由利本荘市、雪の茅舎)、金紋秋田酒造(大仙市、金紋秋田)、鈴木酒造店(同市、秀よし)、阿櫻酒造(横手市、阿櫻)、日の丸醸造(同市、まんさくの花)、浅舞酒造(同市、天の戸)、高橋酒造店(美郷町、奥清水)、木村酒造(湯沢市、福小町)、大森建設(能代市、福八)、Mkpaso(鹿角市、ワイン)

 ▽食品=雄勝野きむらや(湯沢市、いぶりがっこ)、石孫本店(同市、しょうゆ)、くらた(同市、日本酒ゼリー)、稲庭うどん小川(同市、稲庭うどん)、秋田ニューバイオファーム(由利本荘市、きりたんぽ)、秋田犬ツーリズム(大館市、大豆加工品)、大潟村あきたこまち生産者協会(大潟村、甘酒)、諸井醸造(男鹿市、しょっつる)

全米日本酒歓評会 齋彌は全4部門で金賞

(2018年6月18日 掲載)

 米国ハワイ州ホノルルで開かれた「第18回全米日本酒歓評会」(2018年6月5~7日)で、秋田県の酒造会社9社が出品した計29点のうち、6点が金賞、12点が銀賞に選ばれた。このうち齋彌酒造店(由利本荘市、齋藤浩太郎社長)が、全4部門でそれぞれ金賞を受賞した。金賞の中で、特に優れた出品酒として選出されるグランプリ、準グランプリの受賞はなかった。

 歓評会は、日本酒文化を米国に普及させようと国際酒会(本部・ホノルル)が2001年から毎年開催している。

 今回は「大吟醸A(精米歩合40%以下)」「大吟醸B(同50%以下)」「吟醸」「純米」の4部門に、日米の194社が計478点を出品。日米の専門家計11人が味や香りを評価した。

 齋彌酒造店は04年から毎年、歓評会に出品。金賞の受賞は今回で通算44回となった。齋藤社長は「長年の技術研さんの成果が幅広く評価され、励みになる。海外での評価が日本国内での販路拡大にもつながってほしい」と話した。

 本県からは、秋田酒造(秋田市)、秋田清酒(大仙市)の出品酒もそれぞれ金賞を受賞した。

 全ての出品酒は、2018年11月7日に東京で開かれる利き酒イベント「ジョイ・オブ・サケ」で試飲できる。

 県内酒造会社の受賞酒は次の通り。

 【大吟醸A】▽金賞=「純米大吟醸 酔楽天」(秋田酒造)、「雪の茅舎 花朝月夕」(齋彌酒造店)▽銀賞=「刈穂 純米大吟醸 嘉永」、「やまとしずく 純米大吟醸」(以上秋田清酒)、「大吟醸 酔楽天」(秋田酒造)、「太平山 天巧」(小玉醸造)、「大吟醸 鳥海」(天寿酒造)

 【大吟醸B】▽金賞=「雪の茅舎 純米大吟醸」(齋彌酒造店)▽銀賞=「刈穂 純米大吟醸 種月」(秋田清酒)、「純米大吟醸 まんさくの花 山田錦45」(日の丸醸造)、「純米大吟醸 鳥海山」(天寿酒造)

 【吟醸】▽金賞=「雪の茅舎 秘伝山廃」(齋彌酒造店)▽銀賞=「雪の茅舎 純米吟醸」(齋彌酒造店)

 【純米】▽金賞=「やまとしずく 山廃純米酒」(秋田清酒)、「雪の茅舎 山廃純米」(齋彌酒造店)▽銀賞=「出羽鶴 生もと仕込み 純米酒」(秋田清酒)、「特別純米酒 天の戸 美稲」(浅舞酒造)、「生もと純米 鳥海山」(天寿酒造)