社説:県の新ブランド米 高い食味、最大限生かせ

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 県は2014年度から開発に取り組んできたコメの最高級品種(極良食味米)の候補を一つに絞り込んだ。全国トップ銘柄のコシヒカリを大きく上回る食味評価が得られたという。高価格帯の新たなブランド米として22年度に市場デビューさせる。

 新品種候補は「秋系821」。県農業試験場が約800候補の中から5年をかけて選抜した。県が日本穀物検定協会(東京)に依頼した食味官能試験によると、15~17年産の平均総合評価値(満点1・0)は0・72となり、他県産コシヒカリ(0・35)の2倍超。県が昨年、首都圏で高価格帯のコメの購入者約50人を対象に行った調査でも外観や香り、粘り、甘みなど全6項目でコシヒカリを上回った。

 耐病性や収量などを踏まえて総合的に判断していた従来の育種法を見直し、徹底的に食味にこだわり、選抜した結果だ。国内でコメの消費が低迷する中、新ブランド米のデビューは県産米の存在感を高める好機である。県はJAなどと一体となり、効果的な生産、販売戦略を進めなければならない。

 県水田総合利用課によると、一般的に店頭価格で精米1キロ当たり500円以上(税込み)が高価格帯とされる。食味の高さから贈答用などに買い求める人は多く、注目度は高い。全国のブランド米販売は山形県の「つや姫」、北海道の「ゆめぴりか」など他道県が先行している。本県の出遅れ感は否めないものの、挽回に期待したい。そのためには高級米市場のニーズに的確に応え、安定的に供給できる体制づくりが不可欠だ。

 新ブランド米の生産規模について、県は高い品質や価格を維持する観点から、年間生産量を最大で県産米全体(約40万トン、主食用米)の1割程度に抑えたい考えだ。20年度までに県内で栽培適地を選定し、生産者にも一定の要件を設ける。栽培マニュアルの共有を図り、品質管理を徹底する方針だ。消費者の期待を裏切ることがないよう、高品質維持に向けて全力を挙げてもらいたい。

 ブランド米の産地間競争は激しさを増しており、販売戦略もこれまで以上に工夫が求められる。どんな品種名にするかや、売り込むターゲット、商品コンセプトの明確化、プロモーションの展開など細部にわたって官民で知恵を絞りたい。

 すでに人気が定着している他道県産米に負けないよう、高い食味に慣れた県外の消費者にどうアピールするかが問われる。22年度のデビューを前に、購買意欲を喚起するためのPRで機運を高め、弾みをつけることが重要だ。

 県は今後も生産量の7割超を占めるあきたこまちを主力に販売展開する方針だが、高価格帯の新ブランド米が加われば県産米全体の選択肢が広がるほか、イメージアップにつながる。秋田米の名を一層高めて産地の振興を図ってほしい。