北斗星(3月14日付)

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 吉野家が先日、牛丼の新メニューを発表した。「特盛」では物足りない人向けの「超特盛」、並盛の4分の3の量とした「小盛」の2サイズを新たに加えた

▼メニューが増えても安定した味を提供できるのはマニュアルがあるからだ。東京で学生時代を過ごした30年ほど前、別の牛丼チェーンで4年間アルバイトを経験した。接客をはじめ厨房(ちゅうぼう)での調理や盛り付け、清掃、売り上げの計算までマニュアルに細かく規定されていた

▼何度も盛り付けの練習を繰り返し、店長のOKがようやく出たことを覚えている。ただ、マニュアルにないアクシデントは付きもの。バイトを始めた当時、来店した常連の有名プロレスラーにみそ汁を出そうとして、誤ってひっくり返してしまった

▼中身はカウンターからズボンへ一気に流れ落ちた。頭の中は真っ白。店長がすかさず厨房から飛び出してきて、つられるように店長と共にひたすら頭を下げた

▼その当時以上にどんな場面でもマニュアルが幅を利かす時代となった。確かに便利だが、社会はマニュアルで解決できないことが実に多い。仕事上の問題なら、職場の仲間たちと共に考え、その解決策に知恵を絞る。日常の光景である

▼この春、高校や大学を卒業し、多くの若者が新社会人となる。戸惑う場面の連続かもしれない。そんな時こそマニュアルに頼らず、自分の頭で考え抜いてほしい。周りには助言してくれる、経験豊富な先輩たちもいる。きっと答えは見つかるはずだ。