社説:カジノ法施行令 課題解決の手だて示せ

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 政府は、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の要件を定めたIR整備法施行令を閣議決定した。昨年7月に成立した整備法ではギャンブル依存症対策の詳細な仕組みをはじめ331項目が国会審議の不要な政省令などに委ねられたが、今回はこのうち50項目が決まった。

 カジノの面積は、ギャンブル依存症対策の観点からIR延べ床面積の3%以下に制限したほか、カジノ広告を国際線が就航する空港やクルーズ船の到着エリアなどに限って認めるとした。だが全体像は見えず、現状では依存症対策は十分とは言い難い。カジノによる治安悪化や依存症患者の増加など、不安視される課題を解決する具体的な手だてを示すことが急務だ。

 安倍政権は、2020年東京五輪後の景気落ち込みを見据え、IR整備を成長戦略の柱に位置付けている。カジノ入場料は6千円、収益の30%を国が徴収し、立地自治体と折半する仕組みだ。整備法では日本人客の入場は連続7日間で3回、28日間で10回に制限され、本人確認のマイナンバーカードの提示も必要とした。

 一方でカジノ業者に対しては、依存症拡大につながると批判がある利用者への金銭貸し付け業務を認めている。貸し付け業務の詳細な仕組みも、依存症の危険度を左右するカジノゲームの種類も明確にされないままだ。

 国内では、競馬、競輪などの公営ギャンブルやパチンコ・パチスロが原因の依存症が社会問題化しており、厚生労働省の14年度調査では依存症の疑いのある人の全国推計数は500万人を超えている。

 しかし、議員立法による依存症対策法が昨年7月に成立したものの、政府は有効な対策をいまだ打ち出せていないのが現状だ。カジノ解禁により依存症患者がさらに増えるのではと危惧する声が根強いのは当然と言える。

 IR整備法成立直後に共同通信が実施した世論調査では、カジノを解禁する同法について反対とした人が64・8%で、賛成(27・6%)を大きく上回っている。まずは、国民が不安を抱くパチンコ・パチスロなどの依存症対策で目に見える成果を上げる必要がある。そうすることでしか、カジノの解禁を強力に推し進めようとする政府への不信感は払拭(ふっしょく)されないだろう。

 政府は、IR内に客室総面積が10万平方メートル以上の巨大なホテルと国際会議場、展示場を併設することを必須条件と規定。今後は立地区域の選定に関する基本方針の策定を急ぐという。同時に、今夏にもギャンブル規制を担うカジノ管理委員会を発足させる考えだ。

 しかし、このままでは将来に禍根を残すことにもなりかねない。政府は今こそ立ち止まって説明責任を果たし、国民の理解を得ながらIR構想を進めるべきだ。