社説:外国人の就労拡大 受け入れ態勢、確立急げ

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 外国人労働者の受け入れを拡大する新制度を盛り込んだ改正入管難民法が施行された。新たな在留資格「特定技能」を創設し、政府は5年間で最大34万5千人の受け入れを見込む。高度な専門職に限っていた従来の施策からの大きな転換となる。しかし法改正から4カ月弱しかたっておらず、相談窓口設置など準備は遅れている。自治体、事業者側ともに受け入れ態勢の確立に向けた環境整備が急務である。

 人口減少と少子高齢化が進む社会にあって、企業の人手不足は深刻である。外国からの労働者の受け入れは避けられない状況にある。特定技能は一定の技能を必要とする「1号」と、熟練技能を要する「2号」とがある。受け入れのほとんどが介護、農業、外食業など14業種に従事する1号と見込まれ、技能実習生は3年の経験があれば無試験で1号に移行できる仕組みとなっている。

 改正法は12月に成立したものの、運用の詳細を定めた政省令は3月15日に公布、法令解釈や具体的な留意点などを示した運用要領の公表は同20日だった。4月施行ありきにこだわり過ぎたことが準備不足のままでの船出につながった。

 その一つが在留手続きや雇用、医療、子育てなどあらゆる相談に対応する一元的な窓口の設置だ。対象は都道府県と政令指定都市、外国人の多い市町村の計111カ所で、国は交付金支給などで設置を支援する。

 しかし全国で交付金を申請したのは37自治体にとどまっている。外国人労働者にとっては、日本で安心して生活するための重要な窓口となるはずだ。未設置の自治体は早急に整備を進めるべきである。なお本県は交付金を申請済みで、4月1日から既存の外国人相談センター(秋田市)に専従の相談員1人を雇用し機能強化を図っている。

 特定1号の在留期間は通算5年だが、技能実習生とは違って、同一業務などの条件下で自由に転職できる。外国人労働者が地方よりも賃金が高い都市部に流れるのではという懸念が地方にはある。法務省は都市流入が顕在化すれば事業者に受け入れ自粛を要請したり、外国人に家賃や生活費が安い地方就労のメリットをアピールしたりするとしているが、より具体的で実効性の高い解決策が求められる。

 一方で外国人労働者が長時間労働や低賃金での労働を強いられるなどしている実態がある。この問題を踏まえ、法改正では「日本人と同等以上の報酬」や生活支援を受け入れ事業者に義務付けた。しっかりと守られるように指導を徹底することが重要である。

 日本経済は外国人の雇用なしには成り立たなくなっている。共生を目指すためには、外国人を単なる労働者としてではなく、社会の一員として、事業者はもちろん、地域全体で受け入れることが肝要である。