社説:高校野球改革 選手の健康管理が第一

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 平成最後の甲子園となった第91回選抜高校野球大会は東邦(愛知)の優勝で幕を閉じた。「令和」という新しい時代を前に、高校野球は大きな転換期を迎えている。選手の健康管理が喫緊の課題となっており、日本高野連は改革に乗り出した。有識者会議で、投手の球数制限について検討する。勝利至上主義から脱却し、「選手第一」となるよう期待したい。

 投手の投球過多による肩や肘の故障など選手の健康管理については長年にわたって問題視されてきた。日本高野連はこの夏の甲子園大会から休養日を現行の1日から2日に増やし、準々決勝の翌日と準決勝の翌日を休養日とする。昨春の選抜大会からは延長十三回開始のタイブレークを導入し、選手の負担軽減を図っている。しかし抜本的な解決までには至っていない。

 球数制限については新潟県高野連が昨年12月に、今春の県大会に限って「投球数が100球に達した投手はそれ以降の回は投げられない」と表明したことが呼び水となり議論が活発化した。

 新潟県の試みはスポーツ庁の鈴木大地長官やプロ野球選手が後押ししたものの、日本高野連が「勝敗に影響を及ぼす規則は全国で足並みをそろえて検討するべきだ」などの理由で再考を要請。新潟県はそれを受け入れ、今春の導入を見送った。

 日本高野連はこの問題について「投手の障害予防に関する有識者会議」を設置し、検討することを決めた。今月下旬には第1回会議を開催、11月まで4回開き、提言をまとめる。メンバーは元プロ野球選手、高校野球監督経験者、整形外科医、弁護士らで構成する。委員は自らの経験、専門的な視点から忌憚(きたん)のない意見を出し合い、踏み込んだ議論をしてもらいたい。

 選手の故障の背景には勝利至上主義が指摘されている。プロ野球DeNAの筒香嘉智選手は「少年期からの長時間練習などで、子どもの将来がつぶされている」と警鐘を鳴らした。米大リーグ・カブスのダルビッシュ有投手も、高校野球で投手が酷使されている現状を改めるべきだと訴えている。

 投手の球数制限はあくまで改革の第一歩となるものである。大会の過密スケジュール、トーナメント制の問題点などについても、有識者会議で幅広く議論することが重要である。

 先の選抜大会では残念なことにサイン盗みの疑惑が持ち上がった。真相はわからなかったが、選手がフェアプレー精神を尊重し、正々堂々と戦う意識を育てるのも指導者の大事な役割である。

 野球は人気スポーツの一つではあるが、現在は少子化で部員不足に悩まされている学校も少なくない。選手の健康管理はもちろんだが、多くの球児が将来にわたって、長く野球を楽しめるような改革となることを求めたい。