社説:仙北市・戦略特区 目に見える成果を示せ

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 内閣府と、県内で唯一、国家戦略特区に指定されている仙北市は、市田沢湖庁舎内に共同事務局を開設した。両者がこれまで以上に連携を強め、特区を「地方創生」につなげる取り組みを加速させる狙いがある。指定から既に3年半が過ぎており、民間事業者が特区を活用した新事業を通じて雇用を創出するなど、目に見える成果を上げることを期待したい。

 特区は、民間投資を喚起するために特定地域に限ってさまざまな規制緩和を進める制度である。現在、仙北市を含め全国10カ所が指定されている。2014年のスタート時は東京圏など6区域で、都市経済の活性化を主眼にしていた。翌15年、地方創生にも活用しようと、意欲のある自治体が手を挙げる方式で対象が拡大された。仙北市もこの際に指定を受けた。

 市では現在、農業生産法人の6次産業化推進、国有林野の貸し付け面積の拡大、農家民宿を経営する農家らによる旅行商品の企画・提供など、七つの事業が規制緩和を活用して進められている。これらは、既存の事業者が従来不便と感じていたことを解消し、事業を行いやすくするという面で効果がある。

 しかし、そこからさらに進んで新たな雇用の創出、企業進出などには至っておらず、課題になっている。多くの市民は特区の効果を実感できていないのが現状ではないだろうか。

 市自らも関連事業として、全国初となる公道上の自動車無人運転走行、小型無人機ドローンによる図書配送など、先端技術を生かした事業の実証実験を積極的に進め、特区の可能性をアピールしている。しかし、こちらも実験成果に呼応して新たなビジネスに挑戦しようという民間の動きはほとんど見られない。こうした状況を打ち破る必要がある。

 共同事務局開設は3カ所目。これまで仙北市担当の内閣府職員は2人だけで、他省庁との調整や法制面での支援が主な業務だった。共同事務局設置により、市に常駐するわけではないが担当者は8人に増員された。テレビ会議などによる協議、情報交換を通じ市との連携を深めてほしい。

 内閣府には経済産業省出身者もいる。首都圏をはじめとする経済団体や企業とのパイプを生かし、情報発信を強めたい。同時に、地元企業による新規事業立ち上げにも力を傾ける必要がある。

 国家戦略特区はアベノミクスの目玉政策である。しかし、地方では今なお景気回復の実感は乏しいとの声が多い。共同事務局はスピード感を持って結果を出していかなければならない。

 企業が活動しやすい環境の整備にとどまらず、市民に取り組みを丁寧に説明することも大切だろう。他に規制緩和すべき分野がないか、地域のニーズをさらに探り、実現していく努力も求められる。