15メートル先の古里、まだ遠く ルポ・クニマス未来館

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クニマスを飼育展示している水槽。毎朝、飼育員が餌をやって清掃をしている
クニマスを飼育展示している水槽。毎朝、飼育員が餌をやって清掃をしている

 秋田県仙北市の田沢湖で絶滅し、山梨県の西湖(さいこ)で約70年ぶりに発見された淡水魚クニマスが、本県に里帰りして来月で2年。田沢湖クニマス未来館には現在、山梨県から貸与された2匹が飼育されている。古里の水槽を泳ぐクニマスは、私たちにどんなメッセージを発しているのか。未来館の一日から探った。

 先月27日午前8時すぎ。出勤した大竹敦館長(63)が真っ暗な展示室に照明をつける。クニマスを驚かせないよう少しずつ明るくするこの時間は、緊張の瞬間でもある。これまで未来館で死んだ5匹のうち、4匹がこのタイミングで発見されたからだ。

 2人の飼育員の1人、千葉康幸さん(47)が薄明かりの中で水槽を見詰める。「死んでいるのを見つけた時の光景がどうしても頭に浮かんでしまう。今日は大丈夫だったと安心してから、やっと一日が始まるんですよ」

 無事を確認したら餌やりの時間。大さじ1杯ほどの餌を水槽に注ぐと、2匹が勢いよく食い付く。その様子を観察しながら水温を測り、水槽の汚れを掃除する。バックヤードに入る前には、必ず手足や衣服を消毒し、細心の注意を払って作業するという。

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