社説:小学教科書検定 教員の指導力向上図れ

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 来年度から小学校で使われる教科書の検定結果が公表され、県内でも今後、どの教科書を採択するかの検討が始まる。合格した教科書には、5、6年で新たに教科になる英語が含まれる。プログラミング教育なども盛り込まれ、ページ数は増加傾向だ。教育の質と量を充実させるためには、教員の指導力の向上が不可欠。県教育委員会や各市町村教委は教員への支援を一層図らなければならない。

 検定では、申請された11教科164点の305冊が合格した。内容は新学習指導要領に対応している。新要領のキーワードは「主体的・対話的で深い学び」。教師が教え込む知識偏重型の授業ではなく、児童が自分で調べ、討論して課題を解決する学習を目指す。英語を除く10教科の教科書の平均ページ数は合計で現行より10%増えた。

 英語は、従来は必修の外国語活動として「聞く」「話す」に力点を置き、楽しみながら英語に慣れ親しむことが主眼だった。教科になるのに伴い「読む」「書く」技能も重視される。

 2年間に学ぶ単語は600語以上で、成績評価の対象にもなる。小学校では英語指導の経験が少ない教員が多く、戸惑いや不安の声が上がっている。

 県教委は2009年度から、中学の英語教員を教育専門監に任命。本年度は全県で13人が主に中学校に在籍しつつ兼任で小学校の指導を行っている。小学校の教員採用試験に「英語枠」を設け、本年度初めて小学校の教員免許と中学英語の免許の両方を持つ教員3人を採用した。

 すべての小学校に英語教育の専門的な知識・技能を持った教員を配置することは人材確保や予算の関係で厳しい面もある。専門監や英語枠教員などが複数校を受け持ち、各校の教員と連携しながら授業を支援していく体制づくりを進めるべきだ。

 コンピューターのプログラミングの基礎になる論理的な思考力などを養う「プログラミング教育」は、算数や理科などに組み込まれる。英語の場合と同様、十分な訓練を受けた教員は少ないのが現状だ。県教委は、外部の協力者をリストアップした人材バンクを作っている。各校はバンクを活用し積極的に研修などを行ってほしい。

 新たな学習内容が加わり、教科書のページ数が増えることは児童にとっても大きな負担になりかねない。英語嫌いの児童が増えたり、授業についていけなくなる児童が出たりしないように、教員の側が十分な準備と自信を持って授業に臨むことが重要だ。

 教育現場は長時間労働の常態化が問題になっており、中央教育審議会は1月、働き方改革を求める答申を出した。県教委と市町村教委は、各教科の授業づくりに向けた教員の負担が過大にならないよう授業の進め方の事例集作成、研修体制の充実などの支援を進めることが求められる。