北斗星(4月22日付)

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 「仕事する場がないから若者が出て行く。それにどう歯止めをかけるかが最大の課題だと思っていたが、全く別の問題が持ち上がった。秋田を巡る状況は一変したと言っていい」。秋田市新屋の男性(76)はこう語る

▼別の問題とは迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」(地上イージス)。政府が陸上自衛隊新屋演習場を配備候補地に挙げていることが明らかになったのは一昨年11月のこと。住民からは危険だとすぐに反対の声が上がった。防衛省は演習場が適地かどうかを調査中。来月には結論を出す予定だ

▼男性は長崎県生まれ。縁あって秋田に移り住んだ。新屋に家を建て約20年。静かな環境で落ち着いて暮らせるのが気に入っている。そこに政府は北朝鮮の脅威を理由にミサイル基地を置くという。小中学校や高校も近いのになぜ。果たして住民の生活を真剣に考えているのか。疑問が膨らんだ

▼だからこそ、今回の秋田市議選はこれまでになく重要だと思った。候補者の演説に耳を傾け、選挙公報で政策や主張を見比べた。人口減や少子高齢化対策、産業振興、福祉の充実。どれも大切な課題だが、決め手は地上イージスへの対応。その思いが強まった

▼きのう近所の投票所に足を運び、一票を投じた。住民意思を正面から受け止め、毅然(きぜん)と対応してほしい。切実な願いを託した

▼統一地方選が幕を閉じた。当選者に喜びに浸っている余裕はない。住民一人一人の声に応え、いかに行動するかが問われる。