社説:鹿角駅前広場整備 活性化に結び付けたい

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 鹿角市は同市花輪のJR鹿角花輪駅「駅前広場」の拡張整備を進めている。広場は、毎年夏に行われる「花輪ばやし」の主要な会場の一つ。整備後は桟敷席が増設され立ち見のスペースも広がる見通しで、より多くの観光客に楽しんでもらうことが可能になる。拡張整備を契機に祭りの魅力を一層アピールするとともに、中心市街地の活性化にも結び付けたい。

 花輪ばやしは8月19、20日に行われる。両日夜に各町内の屋台が勢ぞろいしてはやしを披露する駅前広場には、大勢の観光客が詰めかける。特に2016年12月に「山・鉾(ほこ)・屋台行事」の一つとして国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録され、注目度が一気に高まった。翌17年は2日間で約26万人の観光客が訪れた。

 広場には例年1100の桟敷席が設置されるが、立ち見の客も多く、会場内の移動が困難になるほど混雑する年もあるという。このため広場の拡張が長年の課題となっていた。

 整備事業では、広場の大半を所有するJR東日本などから周辺を含めた土地を取得し、面積を現在の約2400平方メートルから1・4倍の約3400平方メートルに広げる。これにより桟敷席を少なくとも300席程度増設できると見込まれている。余裕をもって楽しんでもらうためには、1人分の席(従来約60センチ四方)を広くすることも検討課題であろう。

 事業は来年の花輪ばやし前に完了する予定。新しくなった広場での屋台運行、演出方法を含め祭りの魅力アップに向けて、祭典委員会を中心に1年かけてじっくり議論してほしい。

 駅舎の一部を間借りして市が運営している観光案内所は広場の一角に新築される。市内には世界文化遺産登録を目指す大湯環状列石や、鹿角観光ふるさと館あんとらあ(道の駅かづの)、「道の駅おおゆ」などの観光施設もある。街の玄関口として案内所機能を高め、インバウンド(訪日外国人客)対応も充実させるべきである。

 広場は普段、一般車の駐車スペースや高速バスの停留所として使われている。ただ、車道と歩道の区分が不明確で危険だとの指摘がある。このため、整備では歩道部分をカラー舗装するなどして安全を確保する。同時に駐車スペースを広げるとともに、タクシーや鉄道利用者送迎のための停車スペースもはっきりと区分して設けることにしている。

 総事業費6億円を投じる事業であり、整備後の活用策が問われる。花輪ばやしに限らず、市民が気軽に広場に集えるようなイベントなどを積極的に企画し、開催したい。商店街と連携したイベントとなれば、中心市街地のにぎわい創出にもつながるはずである。広場整備の効果を多くの市民が実感できるように、今から知恵を絞っていくことが求められる。