北斗星(5月6日付)

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 「釣りキチ三平」「味いちもんめ」など本県出身作家の作品はもちろん、「北斗の拳」「ガラスの仮面」などの人気作品がずらりと並んでいる。リニューアルオープンした横手市増田まんが美術館の展示だ

▼原画の収蔵数20万枚以上。日本一だという。展示されているのはその一部だが、肉筆の描線や、印刷では分からない白い修正液を使った手直しの跡などが生々しく迫力がある。雑誌掲載時に読んでいた作品があり、当時の記憶がよみがえってきた

▼来場者の年代が実にさまざまなのも印象的だった。若者や子どもに交じって、年配の人たちが思い出の作家の原画を熱心に鑑賞している。これだけ幅広い層の人を引きつけられる展示はなかなかないのでは

▼美術館の名誉館長を務めているのは「三平」の作者で同市出身の矢口高雄さん。ホームページに寄せた言葉の中で、漫画文化の現状について「大きな悩みを抱えています」と述べている。従来、作家個人で保管していた原画の劣化と散逸が懸念されることだという

▼散逸を防ぎ、保存、研究、活用を進めることは美術館の役割だ。世界的に評価される日本の漫画も、最近ではコンピューターで描く作家が増えている。肉筆の原画はますます貴重になっていくのかもしれない。それだけに美術館への期待は大きい

▼美術館を充実した気分で後にした。異例の長さとなった連休も残すところきょう限りだ。それぞれの思い出を糧に新鮮な気持ちで日常生活に戻りたい。