社説:eスポーツ 普及図る取り組み期待

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 コンピューターゲームなどの腕前を競う「eスポーツ」が広がりを見せている。「エレクトロニック・スポーツ」の略。野球やサッカーのほか、格闘などさまざまなゲームがある。

 スポーツか否かという議論があるが、反射神経や集中力が問われ、海外ではスポーツの一種として取り扱われている。昨年ジャカルタで開かれたアジア大会では公開競技として行われた。2022年には正式競技となる。国内でも近年、各地で大会が開催されるようになった。IT人材の育成や地域活性化にもつながるだけに、普及を図る今後の取り組みに期待したい。

 会場での観戦のほか、インターネット配信される動画を視聴するファンが年々増えて人気が上昇。ゲーム雑誌の出版社による国内市場調査で、昨年のファンの数は前年比66%増の約383万人となった。総務省によると、海外を含めたeスポーツの市場規模は17年は700億円だったが、21年は1765億円に上る見込み。飛躍的な伸びである。

 国内ではプロ野球を統括する日本野球機構(NPB)が昨年、野球ゲームを使った12チームによるリーグ戦を開催して話題になった。日本一を決める大会は、三井住友銀行が冠スポンサーとなって開かれた。今秋の茨城国体では文化プログラムとして採用され、人気サッカーゲームによる「全国都道府県対抗eスポーツ選手権」が行われる。主催者には日本サッカー協会も名を連ねている。

 ゲーム機とネット環境さえあれば、誰でもどこでもできるのが特長だ。体格や年齢も関係なく、障害のある人も対等に戦える。多くの生徒が参加できる利点から、教育現場でも導入が進んでいる。専攻コースを開設した専門学校や通信制の高校もある。

 県内では2月に秋田市の会社経営者らが「秋田県eスポーツ協会」を発足させた。協会は高校などの部活動の立ち上げや指導の支援も考えている。茨城国体の県代表決定戦は県サッカー協会などの主催・主管で今月25日に開かれることになっている。熱戦が展開されれば、関心が一層高まるだろう。

 懸念されるのは、やり過ぎで「ゲーム障害」に陥ることだ。ゲーム障害は、ゲームをしたい衝動が抑えられなくなり、日常生活よりゲームを優先し、健康を損なうなどの問題が起きることを指す。ネット依存症のほとんどはゲーム障害だという。未成年者が多く、昼夜逆転の生活で不登校になるケースもある。世界保健機関(WHO)が昨年、疾病として新たに認定したことを重視したい。

 eスポーツを広めるには、このゲーム障害を防ぐ取り組みが求められる。プレー時間の制限は不可欠だ。関係団体が注意喚起を促すなど啓発に努め、健康で楽しめる環境づくりに力を入れてほしい。