社説:GIいぶりがっこ 知名度上げ販路拡大を

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 地域に伝わる農林水産物や加工食品をブランドとして保護する国の「地理的表示(GI)保護制度」の対象に、本県特産の漬物「いぶりがっこ」が登録された。これをばねに一層品質を向上させつつ知名度アップと販路拡大につなげたい。他県産の類似品と差別化を進めることが必要だ。

 全国各地には、その土地の風土や長年受け継がれた生産方法などにより高い品質と社会的評価を得るようになった農林水産物・食品は数多い。GIはそうした産品の名称を知的財産として保護し、模倣品を防ぐ制度。2015年のスタート以来、79品が登録されている。本県では大館とんぶり(大館市)、ひばり野オクラ(羽後町)、松館しぼり大根(鹿角市)に続き、いぶりがっこが四つ目となった。

 いぶりがっこは、県内約50の漬物事業者・団体などでつくる「県いぶりがっこ振興協議会」が17年に登録申請した。その背景には、隣県などで「いぶりがっこ」「いぶし大根」などと銘打った商品が相次いで売り出されていることがある。

 他県産には大根をいぶすことなく「燻液(くんえき)」と呼ばれる液に漬けて薫製同様の風味を出す商品もあり、低価格化の傾向がある。このため伝統的な製法を守る本県産が他県産に押され、販売額やシェアが低下しかねないとの危機感があった。

 GI登録により「いぶりがっこ」の名称を使用できるのは原則、定められた基準を守って協議会員が県内で生産した商品だけとなる。不正に使用すれば罰金を科される場合もある。本県産のいぶりがっこを他県産の類似品と明確に区別できるようになり、消費者にアピールする上で大きな力となるだろう。

 いぶりがっこをブランドとして売り込むには高品質を保ち、消費者の信頼と評価を維持することが不可欠だ。GI登録に伴い、県内事業者が守るべき生産基準が初めて統一された意義は大きい。

 基準は▽ダイコンは国産とする▽ナラやサクラなど広葉樹を使って昼夜2日以上いぶす▽添加物は自然由来のものを基本とする―など。協議会や県は各種研修会などを積極的に開催し、事業者の生産技術向上を図ると同時に、基準順守を徹底してほしい。

 県統計で把握できるだけでも、県内生産は14年度の14業者250万本から17年度の17業者278万本に増加した。全国的に人気が高まり、需要は伸びているとみられる。一方で高齢化などが原因で生産者の減少を懸念する声がある。新たな生産者の確保も課題だ。

 本県産いぶりがっこのさらなる需要拡大のためにはブランドとして統一した販売戦略が必要だ。各事業者や協議会、県が一体となり、県産品共通のパッケージデザインなどの採用、共同のPRキャンペーン展開などを進めることが求められる。