北斗星(5月16日付)

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 岩手県に地域づくりをけん引する注目すべき図書館がある。盛岡市から車で約20分の距離にある紫波町図書館。地域密着の姿勢を前面に打ち出し、年間延べ20万人弱が来館する

▼ここで主任司書を務めるのが、上小阿仁村出身の手塚美希さん(44)だ。子どもの頃から大の本好き。地元の高校から岩手県の大学に進み、司書の資格を取得。千葉県や本県の図書館で経験を積み、運営のノウハウを学んだ

▼2010年に転機が訪れた。紫波町に初の図書館を整備する計画が持ち上がり、開設への協力を依頼されたのだ。夢見ていた理想の図書館づくりができると胸が高鳴った。住民に役立ち、親しまれる地域の拠点にしよう。その一心で地元の歴史や文化に関する資料収集に努め、地場産業である農業分野の充実を図った

▼町は人口約3万3千人。駅周辺に広がる町有地約10ヘクタールをいかに活用するかが大きな課題だった。そこにスポーツ施設や産直施設、飲食店などを集約し、コンパクトなまちづくりを展開した。12年に開設された図書館は中核的な存在だ

▼手腕と実績を買われ、手塚さんは来月ワシントンで開かれる米国図書館協会の年次大会に出席し、紫波町での取り組みを発表することになった。各国から司書らが集う世界最大規模のイベントである

▼「図書館は社会を変える力になり得る。努力と工夫次第でもっと地域に役立つ場になるはず」。手塚さんは熱く語る。地方にはまだまだ大きな可能性があると励まされる。

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