社説:大仙角間川の試み 民間の地域振興に期待

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 大仙市大曲地域南部の角間川、藤木両地区を活性化しようと、大曲商工会議所の地元会員が「株式会社角間川」を設立し、本年度から活動を開始した。少子高齢化や人口減少に伴う地区の衰退ぶりに危機感を抱いた経営者たちが、知恵を絞ってさまざまな事業を展開する。暮らしやすいまちづくりにつながるかが注目される。

 一帯は雄物川沿いにあり、かつて舟運の拠点として栄えた。商店街が形成され、大曲の内小友地区や横手市の大森、大雄地域からも多くの人が買い物に訪れた。しかし近年は郊外型大型店に客が流れるなど、地域経済は縮小する一方だ。スーパーやタクシー会社が撤退するなど、住民生活に支障が生じている。両地区の人口は4月末現在で計3697人と、この10年で2割近く減った。

 低迷が続く状況を打開するため、同商議所の地元会員約30人が計900万円を出資し、昨年12月に株式会社を設立した。社長は電気店を営む会員が務め、縫製会社やガソリンスタンドの経営者が役員に名を連ねる。地域に精通している強みを生かして住民のニーズを掘り起こし、新たな商機を見いだしてほしい。

 まず始めたのが、角間川地区にある国登録有形文化財「旧本郷家住宅」など旧地主3家の屋敷の管理業務。屋敷を所有する大仙市から管理委託料が入る。だが主な収入は今のところ、これだけだ。

 江戸から明治、大正、昭和にかけて造られた母屋や蔵などが並ぶ旧本郷家住宅をはじめ、往時をしのばせる歴史ある建物を住民や観光客向けにどう活用するかは大きな課題だ。人を呼び込み、周辺の商店の収益アップにもつながる仕組みを早急に構築する必要がある。

 同社は今後、商店と共同で商品開発に取り組むほか、住民の足を確保するための運送事業などにも乗り出す方針だという。成果が上がるよう、しっかりした戦略を練って臨むことが大切だ。

 地域活性化に取り組む組織はNPOや住民団体などさまざまあるが、行政による補助金頼みとなり、それが途絶えたり削減されたりすると活動が停滞する例は少なくない。意欲的なリーダーに任せ切りとなり、その人が離れたのを機に活動が頓挫する例もある。

 株式会社角間川は自らの力で利益を生み出し、息長く経営を続けることを目指して設立された。行政と連携しながらも、補助を前提としない経営をする方針だ。民間ならではの自由な発想、スピーディーな事業展開が望まれる。

 県商工会議所連合会によると、商議所の会員が地元の活性化を目的に結束し、株式会社までつくって幅広い事業に取り組むのは異例という。事業が軌道に乗り、活性化の新たなモデルケースとなるよう期待したい。