北斗星(5月24日付)

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 英語の「スマート」には「賢明な」「高機能の」などの意味がある。この英語を冠した用語が新聞記事に頻繁に登場するようになった。その一つが、小型無人機ドローンや情報通信技術(ICT)、ロボットを取り入れた、いわゆる「スマート農業」だ

▼背景には急速に高齢化が進んでいることがある。県内農家は平均66歳超で、就農人口は減る一方だ。衛星利用測位システム(GPS)を活用した田植え、センサーを使って田んぼの水位をスマートフォンに伝える水管理、ドローンによる授粉作業…。機械を使っていかに効率的に生産するかが問われている

▼県南の高校で農業を指導する教諭によると、高校生はこうした先端機器の操作を器用にこなすそうだ。「パソコンやケータイの操作に慣れ親しんできた世代ですから」と教諭は語る

▼その一方、農業実習で重視しているのは体で農作業を覚えて苦労することだという。作業の過程を理解してこそ、労働時間や労力を軽減してくれる機械の大切さが分かるからだ

▼だが先端機器の導入には当然、コストもかかる。省力化を図ろうとして農機具への投資が過剰になる現象は「機械化貧乏」とも呼ばれる。コストを十分見極めた上で取り入れたい

▼県内は田植え真っ盛り。育苗箱を手に行き来する農家の姿はこの時期ならではだが、いずれはこれも見られなくなるのだろうか。無人の田植え機やドローンのみが動き回る田んぼ。複雑な心境でそんな光景を思い浮かべた。